〈 清司のパート 〉
本気で仕事をするつもりだった初代の室長は
この事態が大いに心外だった。
そもそも病人や、やる気がない人ばかりでは
室としての体制が整わないではないか。
そう考えた室長は人員要求の際に
「役所で一番元気な人をお願いします」
と人事課に頼んでいたら、
「二番目に元気な人です」と気のきいた
触れ込みとともに若手が送り込まれた。
必然的に、その貴重な人材の肩に
重荷がふりかかってくることになった。
そこに指名されたということは
優秀な人物と見込まれたのかもしれないが
清司は面白くなかった。
全くもって損な役回りだ。
「君なら大丈夫だよ」
「ほんの少しの辛抱だ」
「十分やっていける」と励まされたが
そんな言葉は何の慰めにもならない。
「適任者は他にもっといるだろう」
と大声で抗議したかった。
去年の若手は、重圧が招いたのか
一年目だったというのに
不慮の事故で途中退場となった。
どこかから転げ落ちたとか、そんなことだった。
その話についてはタブーなので
彼が今どうしているか
療養中なのか
復帰するめどが立っているのか
詳細はわからない。
清司もかつて彼を
一度庁内で見かけたことがある。
ああ、あの人かと思った。
先入観があるせいか
憂鬱そうな顔をしているように見えた。
大変そうだなと同情した。
その時はまさか自分が翌年
配属になるとは思わなかった。
僕は去年の彼の様なことにはなりたくない。
いや、絶対にならない。
※ 2021年2月~に掲載したものを
修正して再投稿したものです

