『私を離さないで』と『約束のネバーランド』

最初の設定はすごく似ています。

 

 

閉ざされた学園にいる子どもたちは

いずれ「提供者」になることが決まっていて

そのために、大切に育てられ

特別な教育を受けています。

 

 

こどもたちを預かっているのは

『~離さないで』ではマダムや先生

『ネバーランド』ではママ、シスターと

呼ばれる人たちです。

 

 

二つの話で違うのは

『~離さないで』では自分たちの未来を知っても

運命を従容として受け入れます。

 

それほど驚かないという所が怖いです。

 

小さい時からうすうす「そうじゃないか」

と気が付いていた。

少しずつ先生たちの言動によって

刷り込まれていたのです。

 

 

 

 

 

 

『ネバーランド』では

今まで優しかったママの裏の顔や

学園の真意を知ってショックを受け

逃げることを決意します。

 

 

非力な子どもが狡猾な大人と戦うのは

とうてい不可能に思えますが

いろいろ知恵を絞って脱出するのです。

 

ここがやはり「少年ジャンプ」。

 

為せば成る精神ですね。

そして、漫画は脱出してから先がまた長い。

 

 

全部で20巻あるので

アニメを見ようか、漫画を見ようか

と楽しみです。

 

 

オリジナルでは子どもたちの年11才なので

漫画が好きな人は映画の配役については

「ちょっと違う」「子役でやってほしかった」

と思ったようですが

私は映画も充分楽しめました。

 

 

 

 

『わたしを離さないで』に戻りますが

 

学園の子どもたちが置かれた状況は

絶望したり自暴自棄になったりしても

不思議ではないのですが

彼らは逃げもしないし抵抗もしないのです。

 

ドラマチックなことが何も起こらない。

 

物語の中盤で、自分たちのpossible

(ネタバレにならないように原文どおり)

に会いに行く場面があるのですが

 

 

エンタメ小説だったら

ここで一波乱あって盛り上がるのでしょうが

またも肩すかしくらいます。

 

彼らは何となく悟って何となく諦めます。

 

 

若者らしい青春を味わう時期もあるのですが

最終的に彼らは「提供者」になります。

 

 

もう大人になっていて

自由に逃げることもできるのに

「どうして逃げないの」と言いたくなります。

 

 

 

作者は、何を言いたかったのでしょうね。

 

 

理不尽な真実が隠されていること。

科学の発展に倫理性が追い付かないこと。

弱い立場の人々が消費されていくこと。

 

 

いろいろ考えさせられます。