浩が背後からスキンヘッド”の首を締め上げている。
浩はいつのまにか正気を取り戻し
耀がやられているのを見て助太刀に入ったのだ。
”スキンヘッド”は憤怒の表情で手をひきはがそうとするが
浩はなおも強い力でぎりぎりと締め上げている。
「はあっ」
”スキンヘッド”は大声で気合いを発した。
持てる力を全部振り絞って、神がかり的に手を振り払った。
反動で浩はすっ飛ばされ、ぼろ人形のようにだらりと床に伸びた。
耀は浩のもとにかけ寄って体を抱き起こした。
「しっかりしろ」
揺すって呼びかけると、わずかに浩が目を開いたが
何だか様子がおかしい。
目の焦点が合わず、顔も左半分が引き攣っている。
「いったいどうなっているんだ」
”スキンヘッド”がしわがれ声で”いたち”に叫んだ。
「点穴を打ったんじゃないのか。
しばらくは目を覚まさないはずだろう」
”いたち”は床にへたりこんだまま
「わからない」と弱々しく首を振った。
その時、勢いよく部屋のドアが開いた。
五人の黒っぽいスーツ姿の男たちが
一陣の風のように踏み込んできた。
その男たちは、呆気にとられている”スキンヘッド”と”いたち”を
タップダンスのように軽快な足取りで
てきぱきと組み伏せ取り押さえていった。
動きには無駄がなく手際よくて
まるで集団の無言劇を見ているようだった。
耀も何が起こったかわからず
浩の体を抱えて目をきょろきょろさせていた。
一人の若い女が、男たちの背後から現れた。
その女はくるみだった。
落ち着いた足取りで耀たちに歩み寄り
にっこりと笑った。
会心の笑みだった。
「よかった。間に合って。約束を守ることができた」




