《 登場人物 》
岡田めぐみ 主人公 学園のアイドルだったが今はひきこもっている
水田ひろ子 めぐみの女友だち
薄田一郎 めぐみの元クラスメート 彼氏に昇格

礼子と亜希が来ていないか探していたら
ひろ子さんが数人の女友だちと固まって
話しているのが見えた。
彼女と最後に電話で話したのが半年前で
薄田君と付き合うようになってからは
お互い気まずくなって連絡を取っていない。
じっと見ていると、彼女は私に気づいて会釈した。
私のことを全く無視するというわけではなさそうだ。
彼女らしい控えめな承認の仕方だと思った。
「久しぶりね。元気だった」
私は差しさわりのない挨拶をして会話に加わった。
礼子と亜希のことを尋ねたら
今日の同窓会には来ていないということだった。
二人は、こんな時にも忙しいらしい。
ひろ子さんは、薄田君のことには一切触れない。
彼女がすました顔で何もなかったように
話しているのを見ると、急に思いがこみあげてきた。
彼女には念のため、釘をさしておかなければいけない。
「ひろ子さんは薄田君の誘いを断っていたんでしょ。
自分の気持ちをちゃんと伝えなかったから
いけなかったのよ。
私が薄田君と付き合うようになってから
取り戻そうとしても、もう遅いんだから」
その場にいた人たちは、皆はっとして黙ってしまった。
すごい早さでお互い目配せしあっている。
ひろ子さんが口を開いた。
「めぐみちゃんは今、薄田君と付き合っているんでしょ。
私はただの知り合いだから
別に取り戻そうなんて思っていないわ」
と棒読みのように答えた。
「ねぇ。めぐみちゃん。元気になったら私たちとも遊ぼうよ」
他の子がすかさずフォローした。
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こうして、ひろ子さんとの仲はあいまいなまま復活した。
私はひろ子さんのことを、穏やかで優しい人だとずっと
思っていたが、そうじゃないとわかった。
彼女、薄いのだ。感情表現が薄い。
いつもはっきりしない中途半端な人。
これがひろ子さんだ。
