
「驚かないでね。前とは見た目が変わったから」と私が言うと
「どういうこと?」とひろ子さん。
「う~ん、ちょっと太ってしまったの」
ひろ子さんの申し出はうれしかったけど、私は内心不安だった。
薬の副作用で、ずいぶんと体重が増えてしまって
顔は以前よりふっくらしている。
久しぶりに会う人には別人のように見えるかもしれない。
「まあ、でも“めぐみ”は“めぐみ”でしょ。一緒じゃない」
とは言ってくれたが。
土曜日の午後に、ひろ子さんお薦めの、近ごろ流行のカフェでお茶することにした。
お父さんの車で途中まで送ってもらった。
「久しぶりね」
彼女は私を見てもそれほど表情を変えず
手を上げて微笑んだ。
私の容姿については何も触れなかった。
ひろ子さんの方はというと、高校の時よりはやせて垢ぬけている
というのが最初の印象だった。
オリーブグリーンの色でまとめた服もセンスがよく
彼女によく似あっている。
高校時代のひろ子さんは、強い個性の持ち主ではなく
どちらかと言うとおとなしい目立たない感じだったが
今の私からすれば、外で働いている
若い女の子特有の輝きがあって眩しい。

卒業してからこれまでの事、いろんな話をした。
病気のこととか、高校の時付き合っていた彼氏のこととか。
どちらかというと私の方が話したいことがいっぱいあって
ひろ子さんは聞き役に回っていた。
ふんふんとうなずいて聞いていたが、途中一回だけ引っかかりを感じた様子で
意外そうな顔をした。
それは「高校時代は佐伯君と付き合っていた」と話した時のことだった。
ひろ子さんは戸惑った様子で言った
「私、佐伯君は亜希さんのことが好きなんだと思っていたわ」