礼子や亜希には、電話で「おめでとう。よかったね」と伝えはしたが、それだけ。

合わせる顔なんてなかった。

 

誰かに話を聞いてもらいたくて、佐伯君を家の近くの喫茶店に呼び出した。

私が一方的に愚痴を言っただけだ。

 

勉強しなかった自分がいけなかったのだが、二人が羨ましくて

これからの自分が不安でしょうがなかった。

 

礼子と亜希、それに佐伯君も地元の大学に受かっている。

私も一緒に進学するつもりだった。

これからも皆と一緒だと思っていた。

なのに、私は皆と離れて一人都会の大学に行かなければならない。

それも何かやりたい目標があって受けた大学ではないのだ。

これから先どうなるのか、お先真っ暗。

 

「礼子はいいな。羨ましいな」

私は、大きなため息をつき、同じことを何度も繰り返ししゃべっていた。

「当り前よね。あれだけ勉強していたんだから。

まるで勉強の虫みたいに勉強ばかりしていたんだから、受かって当然よね」

 

そしてしばらく黙ってしまう。

またぐずぐずと愚痴を言いだす。この繰り返し。

 

佐伯君はその間、ずっと黙って聞いていた。

慰めの言葉はひとこともなかった。

腕を組んで、私から視線をそらし、ただ私の話をじっと聞いていた。

 

私が何度目かに「礼子は-」と言いかけた時、

「やめろよ」きつい調子で佐伯君がさえぎった。

「友だちのことをそんな風に言うのは」

 

私はびっくりして「そんな風にってどういうこと?私、何か悪いこと言った?」

 

「もう礼子さんのことは言うな。

めぐみがうまくいかなかったことと、彼女は関係ないじゃないか」

「それは、そうだけど」

「もう聞きたくないんだ」

そう言われると何も言えない。悔しいけど。

 

その日は、次に会う約束もしなかった。

「東京に行ってもお互いに連絡とりあおう」の話も出なかった。

佐伯君とは、気まずいまま別れた。