一区切り | sunset diary

一区切り

よく目にするQuoteに、

 

"When you're dead, you don't know you're dead. The pain is felt by others. The same thing happens when you're stupid."

 

ってのがある。『人は死ぬと自分が死んでいることは感じない。痛みは周りの人間が感じるもの。これは愚か者にも言えること』

 

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最近亡くなったDの周りの人間が感じている痛み。私は今まで家族を失った人たちを何人も見てきたけど、今回のDの場合、彼の病から死に至るまでの家族の苦悩をずっと目の当たりにしていたのが辛かった。この火曜日にcelebration of life (お別れの会)があって、ここで周りの人間は各々思いに一区切りついたって感じかな。お別れの会って、残された人間が故人との思い出を語って自分の心の中に区切りをつける大事な機会だなって体験した。

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17年前、私たちとDの家族は数か月違いで今のStreetに越してきた。彼らはカナダからの移民でこの時すでにアメリカには6年ほど住んでいて、私たちはドイツから直接ここに越してきた。彼らのボーイズはウチの次男の初めての友達だ。彼らがミドルスクールに上がるまではほぼ毎日遊び、週末は泊まりっこしていたなかだ。子供たちはミドルスクールでバラバラになり、ウチの次男は学区外の学校へ、シャンデールのボーイズはラクロスのクラブチームに入った頃から週末を共に過ごすこともなくなり、そのうち子供同士はだんだんと疎遠になっていった。

 

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この月曜に次男がF1観戦を終えてモントリオールから戻るとすぐどっかに出かけて行った。しばらくして目を真っ赤にして帰ってきたなと思ったら、ボーイズのところに行っていたと。

 

次男『家に行ったらまずシャンデールが出てきて、顔見たら大泣きしちゃった。ハグして一緒にわんわん泣いた。久しぶりに泣いた。Grandmaたちもやってきてそれは大騒ぎ(Grandmaは次男の小さい時を知っているから)。ボーイズが何ごと?って二階から降りてきて、ノア(長男の方、ウチの次男と同い年)とハグして、僕はまだ泣き続けた。ノアはもう泣き疲れたんだろうな、なんか僕の方が慰められちゃった』と。

 

次男はDが亡くなった翌日に自分の引っ越しがあって気もそぞろだったらしく、カナダに行ったあたりにやっと自分の心の整理がついて、ボーイズに会いに行く決心がついたらしい。次男もいい年しているから、私がどうこう言うより、自分で気持ちを整理して後悔のない人付き合いをしていかないといけない。

 

彼は自分の仕事始めが水曜だったので、前日火曜の午後にあったセレモニーには参列できなかったけど、Grandmaが『xx(次男)が来てくれて嬉しかった。彼はいまだに純朴で自然な感性を持っている。とてもナチュラルな接し方をしてくれてボーイズにとって癒しになっていた。来てくれてありがとうって伝えておいてね』と言われた。

 

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先週末、まだGrandma達がいるときに、私は娘と孫を連れてシャンデールのところに寄ってみた。新生児とパピーは万国共通、人間の癒しと気晴らしになるから。ほんのちょろっと5分ほどだったけど、シャンデールは久しぶりに赤ちゃんを抱っこして嬉しそうにしていた。『信じられない!xx(私の娘)が立派なママになっているなんて!Dに見せてあげたかったわ~~』って。私の娘はボーイズのシッターをしていたからなんか不思議って。

 

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シャンデールは強い。気丈にしていてとても健気だ。

 

去年の9月に夫の癌が稀な病気で余命宣告され、徐々に気持ちに折り合いをつけていた。今はやっとDが痛みとおさらばできたことが救いだって事あるごとに言っている。彼女をみていて思ったのが、私たち周りの人間にもDの死と折り合いをつけさせてくれていた事。ミールトレインとか、家族たちに何かしたいって気持ちを尊重してくれているってことがありがたかった。疲れるから一人にしておいてって思うんじゃなく、誰かのために行動することが自分の気持ちを落ち着かせてくれるって事を知っている彼女に感謝だ。


人の死って、家族だけが悲しむものじゃないんだよね。周りにも一緒に悲しむ術を与えてくれてありがたかった。彼女のやさしさが余計私たちを悲しくさせたんだけどね。

 

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闘病の末に家族を看取るのと、事故などで突然家族を亡くすのとどちらが辛いかってずっと周りで話していた。

それは、シャンデールとDはお互いの家族を病気と事故で亡くしているって共通点があったから。

 

シャンデールは大学時代、母親を癌で亡くし、翌年に兄を自動車事故で亡くしている。余りに辛くて大学を一年休学していた。父一人、娘一人でその後を過ごし、お父さんは10年前に亡くなっている。

 

Dは父親を16歳の時に職場の事故でなくしている。大きな岩の下敷きになって亡くなっているので、遺体回収もされていない。母親、Grandmaはまだ健在で、はるばるカナダから何度も飛行機で飛んできて息子を見舞っていた。この度のセレモニーでも気丈にふるまい、弔辞をしっかりと述べていた。子供を先に亡くすっていたたまれない。

 

昨日Grandmaとその伴侶、そしてDの弟はカナダに帰った。シャンデールはボーイズと3人になって少し落ち着いたかな。私たちママ友は少しスローダウンし、彼女たちのプライバシーを重視することにした。ボーイズの友達は相変わらず出入りが多いけど、息子たちの夏休み中の出来事だったのが不幸中の幸いかな。シャンデールはあと3週間休暇があり、徐々に仕事に復帰する。幸い職場の人が良くしてくれている。

 

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だらだらとブログに書きとどめ、私もここで気持ちにひと段落つける。

 

ここからは違った形のサポートに切り替える。

 

RIP, D