パイロットに敬意を表して
週末、男たちがみたかったSullyを観てきた。ついでに次男の友達もついてきた。
+++++
あのハドソン川の奇跡の着陸って2009年だったんだ。なんだかもっと前だと思ってた・・・。まだ記憶に新しいけど。
この映画、よくぞあのキャプテンの決断が間違っていなかった事実をしっかりと伝えてくれたと、監督のClint Eastwoodに拍手を送りたい。彼自身、コレを世に出さないとあの世にいけないよって思ったのかも知れない…!?
+++++
映画の内容は割愛。超有名だし。
+++++
事故後まもなく友達のパイロット、マーティンと話をしたとき、あの機長への事故調査委員会の聴取がとても厳しかったという話は聞いていた。パイロットは普段、乗客の命を守って当たり前。でも、機体へのダメージや、ましてやあのハドソン川への着陸での機体丸ごとドッポン事件は保険会社が黙っていない。回避できたのではと話をもっていくだろうと、パイロット皆が思っていたそうだ。ゲンキンだよなー、乗客が助かったばかりに、今度は機体の賠償問題があがるなんてさ~
Sully機長(Sullenberger 機長の愛称)自身も言っていたが、マーティンも当時、『あんな水の上への着陸なんて練習しない』そうだ。鳥がエンジンに巻き込まれることはよくあるそうだ。冗談好きなマーティンはよく、『あれ、臭いはコックピットに入ってこないけど、きっと鳥の丸焼きのいい匂いがするはずだよ』って言ってた。
普段シュミレーション訓練が頻繁に行われていたのも覚えている。『今週マーティンは飛んでないよ、シュミレーション訓練だから~(=国内)』って、妻のドロテアが良く言ってた。とか、マーティンは機長だから、『たまに副操縦士への訓練の為に内緒でオートパイロットシステムを切っちゃうんだ。彼らがどういう判断を下すかみるんだよ。大丈夫、危ないことしてるわけでないし、乗客は分からないから』とかも言ってた。世間話をしながら、でもマインドは計器に全集中っ!みたいな。『ご存じ、会話は全て録音されてるから、あまり変な事は言えないんだよ』らしい。
映画の主人公同様、マーティンも『乗客の命を預かっている』っていう考えは常に念頭にあった。自分の搭乗地には1日前に向かっていたが、その前日のパーティーの時は当たり前だけどもう一摘も飲まなかった。搭乗何時間前までにアルコールが抜けていないといけないって規定があったし、健康状態も常に維持しないといけなかった。これは航空会社にもよるだろうけど、まぁ安全第一のドイツの航空会社だし、彼にはそのパイロットだってプライドもあっただろう。暇をみつけてはサイクリング、ジョギング、テニス、そして趣味のバンドと作詞活動と、とにかく《自身のコントロール=すべては乗客の命を守るため》につながっていた。
昨日の映画はどうもマーティン家族がかぶってしまい、私もオットもじっと座って事の成り行きをみているのが辛かった。だって、彼を支えている家で待つ奥さんの事もよく分かるんだもん。
私やクラウディアとか、マーティン抜きでドロテアだけと会う時には極力飛行機事故とか、不吉なことは話題にしなかった。去年のジャーマンウィングの副操縦士の自殺行為の後も、なにかの拍子に彼女から話をもってきたときにチラッと話をしただけ。あの時の彼女もさすがで、『マーティンにはこれから副操縦士が若かったら《キミ、人生は楽しいかい?奥さんと上手くいってるか?》とか事前に精神状態を探らなくちゃだめよって言ったのよ~』とか、サラリと言っていた。もう、信じるしかないもんね。
マーティンは凄い。2011年頃だったか、エアバスのA380がいよいよ発表された辺りで、『パイロットだったら、あのデカいヤツを操縦しないで人生を終わりたくない』っていって、2年間の特別訓練を受けてまんまとA380 専属パイロットになった。もうすぐ50歳だよって歳だったかな。今ではドイツー上海、ドイツーマイアミ間専門として、乗客500人以上の命を預かっている。A380 は機体が大きいから、高度も他の機種より高く、身体への負担も大きいらしい。なので昔より体を鍛えることに専念しているそうだ。と同時に、彼の会社は50歳過ぎてからは、毎年有給が1日づつ増えている。そうだよね、大変だよ・・・。彼は腕が太いんだけど、よく『へぇ、この腕であの大きな機体を持ち上げてるんだ。すごいね~』ってからかうけど、機体を操縦するのは人間なんだよね・・・。
マーティンは映画のSully 機長の様に、少年時代からプロペラ機を操縦していて、大学卒業と同時にテキサスの訓練地での研修生活を経てドイツの航空会社に採用になる。以来ずーっと同じ会社。はじめは欧州内を飛び、ほどなくして国際線担当となり、私たちが彼と知り合った時はよく成田にも飛んでいた。
が、そこで9/11後の世界中の航空会社の業績不振のあおりを受け、彼の会社は解雇ではなく(さすがドイツ)、年に1,2か月の無給休暇制度を始めた。ってことで、よくサイクリングしたり大工仕事したりしてたのを覚えている。そんななかでの40歳過ぎてからのA380への挑戦と、自分で道を切り開いている人だ。
なんでSully 機長からマーティンなんだよって話だけど、昨日は私もオットもとにかくマーティンとその家族がオーバーラップしちゃって、ムズムズしながらみた映画だった。
マーティン、今日は私の日記ににメインで登場だよ。もう褒めちぎり!日本語読めなくて残念だわ。