Spotlight | sunset diary

Spotlight

2014/15年は、実話を基にした映画が実に多かった。

11月にはこのSpotlightも公開されていたが、あっという間にロードショウが終わってしまい、年明けにどっかの映画館で公開されるのを待っていた。先週、やっと観ることができた。

年末に観たThe Big Shortと同様、聴衆は皆、結果が分かっているストーリを、どうやってそこまでたどり着いたのかという過程を知りたがっている。

アメリカだけでなく、世界中のカソリックの神父達が男児への性的虐待を行っていた事実が世界を震撼させたのは、2002年春の話。私は覚えている。ドイツで次男が生まれて半年くらいの時だった。私が住んでいたのは南ドイツの小さな村。どっぷりカソリックの地だ。ドイツ人の神父も何人か名前が挙がったのも覚えてる。その時友達(彼女もカソリック信者)と話したのは、

「カソリックの僧院には同性愛者がいるってのは、皆が薄々感じているってこと。息子をカソリックの僧院(Kloster/Abbey)に送るってことは、今の世の中、余程の信者じゃないと決断できない、身を捧げるって事だよね。同性愛であることと、大人が子供にいかがわしいことを強要するってことは別。今回のこのスクープは恐ろしい事だわ」

って事だった。

この記事が明るみになる2年前、私は仕事である企業のワークショップの通訳に付き添っていて、最後の2日間はご褒美でミュンヘン近郊を貸切小型バスで観光して回った事がある。Ettalという僧院へもたち寄った。ここのトップの神父さん直々に私たちを隅々まで案内してくれたのはありがたかったが、私の手を事あるごとに握るんだ、この方。今でも忘れない、あの「魂を抜かれる様な異様な感触」。

僧院とは、学校(寄宿制)を初め、自給自足できるすべての施設が整っている。キャンドルやリキュールなどを製造し、それを売って収入も得ている。コミュニティーがしっかりできていて、それらが13世紀から現在まで機能しているって事がすごいと思っていた。しかし、試しにこのEttalのWikiを今読んでみたら、2010年に、この僧院の学校内での性的虐待が明るみにでたそうだ。あそこもだったのか…。

でも、このSpotlightのチームがしらみつぶしに聞き取り調査をして分かった事実は、貧しい家庭のカソリック信者だ。口封じにお金をもらったら何も言えない。虐待を受けた子供達は、その後自殺に追い込まれたり、精神的におかしくなり、悲惨な人生を送っている。

細かい数字は割愛するが一つ、心に残ったフレーズを。

「これは身体への虐待ではなく、スピリチュアルへの虐待なんだ」

この映画では、虐待されていた無垢な子供たちの数、そして、『信仰心へ付け込んだあるまじき行為』への怒りと恐怖で胸がいっぱいになった。涙なんて、凍り付いて出てこなかったくらい。

何を信じたらいいのかって迷った信者は多いだろうな。初めから終わりのエンドロールまで、久しぶりに神経が張り詰めた映画だった。

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Mark Ruffaroの熱演が印象に残っている。彼は13 going on 30 の時のような「ぽわ~ん」とした感じが好きだったが、近年はいろんな役柄に挑戦していて、Foxcatcher の時は余りに役作りに凝っちゃって誰だかわからなかった。彼は悪役やエキセントリックな役より、今回の様な熱血記者なんかはハマり役だったと思う。

私はLiev Schreiberが大好きで、彼が出演するってのもあってこの映画を楽しみにしていたんだが、この映画の出演者は誰もが皆当たり役だった。この映画には、ベストキャスティング賞を是非とも捧げたい。