小説で知っていた夏目漱石「こころ」の映像作品が意外に良作過ぎたので他の作品も観てみました。

松田優作さん主演の「それから」


学生時代、想いをよせる女性がおり、相思相愛を心で感じていたものの、伝えることなく自分よりも将来性のある別の友人に彼女を託す主人公。


その二人は結婚をし、やがて友人も出世するのですが、突然職を失い、世間に卑屈になり妻に対しても辛く当たる様になります。


主人公は職につくこともなく資産家である親のスネをかじり独り身でニート生活を続けており、縁談の話も断り続けていた。

そんな中失業した友人と再会、友情で彼を援助しつつも、かつて好きだった彼女への態度を目の当たりにして、彼女を密かに支えようとする主人公。その想いは次第に膨れ上がり自身が独り身である理由を彼女に告白する、、という夏目イズムばりばりの奥ゆかしいプラトニックな恋愛ストーリーなのです。


普段専門書以外は読書しない、私が唯一夏目漱石作品が好きな理由がまさに、自分の恋愛観がそんな感じでなかなか大胆に相手に伝えたり行動にうつせないタイプだったので共感しまくりなんですよね。


この映画も見事、夏目ワールドが映像化されててとても楽しく観ることが出来ました。

強面暴れん坊なイメージの松田優作さんがイメージを覆す様な青年役なのですが、タバコを吸ったり椅子に座ったりする際の色んな所作にアウトロー感がバリバリ出ていてこれも国民的小説である「それから」の新しいイメージ像を作るためのキャスティング時の狙いだったのかな、と思えてとても楽しかったです。


藤谷美和子さんも父性を刺激する守ってあげたくなる病弱な奥さんを見事演じきってて魅了されました。明治時代の女性の言葉遣いがとても上品でほっこりしますね^_^