ONCE MAGIMAGI -10ページ目

第二十八話 組戦・最強タッグ

魔法の剣と剣がぶつかり合う。

ウルカヌスの剣は神速だった。

はじくだけで精一杯である。

そしてその動きが止まったところを、ネプトゥヌスの泡が襲う。

泡に触れたところの服が破れ、皮膚が焼ける。

痛みはあったが、疲れからか、激痛という程のものではない。

あまり傷口を見たくなかったが、ふと目に入ったその傷は決して軽いものではなかった。

最初のうちは、魔力の消費を抑える意味もあって、魔法剣で防御していたが、しだいに攻撃に手が追い付かなくなり、全面防御の丸い球の中に閉じこもりになった。

二人の攻撃が激しすぎて防御球を解除できなかった。

「くっ」

全面防御は、細い剣を作るより確実に魔力消費が激しい。

先ほどの合計三倍魔法力放出が効いている。

魔力の渇きより、体力の消耗が苦しい。

勝ち目はなかった。

逃げ道さえ、ふさがれていた。

負ける。

覚悟を決めた時だった。

「十二神が二人掛かりで一般生徒一人をいじめるなんて、酷すぎねえ?」

それは―――

桜。

夏木 桜。

優希のかつての親友。

太陽神、桜。

「桜!」

「うおおおぉっ!!」

桜の拳がネプトゥヌスに迫る。

「ボブルボム」

泡が円状に広がる。

盾だ。

「燃えろ俺の拳」

多分魔法のコーティングだろう。

焼ける泡を貫いて、拳がネプトゥヌスをとらえる。

吹っ飛ぶネプトゥヌス。

二、三転してネプトゥヌスが立ち上がった。

「痛いなあ」

「増援か、あまり邪魔されたくなかったでござるが」

「壁作っちゃうかー」

ネプトゥヌスが巨大な泡を作り出した。

半球状のドームに四人は包まれた。

「もう邪魔は入らないよ。しかも壁にぶつかると焼けちゃうよー」

「面白い、タッグマッチといくか」

「ウルカヌス、でっかいのでいくから時間作ってー」

「承知」

そこで初めて優希は気付いた。

ウルカヌスは光子体化していないことに。

あの神速のごとき剣術は通常の人間によって生み出されていたことに。

優希はすでに光子体化していた。

桜も光子体化する。

そして、ウルカヌスも。

「剣術か、面白い。真剣勝負、一度やってみたかったんだよなー」

と、桜は魔法剣を作り出した。

「なに、遠慮は必要ない。二人掛かりで―――来い!!!」

斬激の嵐。

二人の刃をウルカヌスは一本の剣で守り切る、どころか反撃までしてきた。

深くまで踏み込めない。

「ギアあげるぞ」

桜の剣筋がさらに早まった。

優希のとあわせて、やっとウルカヌスを押し始める。

「せいやあ!」

ウルカヌスをあと一歩で、壁に押し付けられるといったところだった。

ネプトゥヌスの魔法が発動した。

「ボムボム!!!」

泡がドームを満たさんと一斉に噴き出した。

肝心のウルカヌスとネプトゥヌスは、泡作り出しその中に入っていた。

そうすることによって、泡に襲われる心配はない。

「アハハ、つぶされちゃえ」

斬った。

優希は泡を斬った。

斬って斬って斬りまくった。

「手が足りるかなー?」

「手が足りなくてもいい」

「?」

「お前はマルスと同じ間違いをしている」

「ひどいなあ、ハッタリでもあんなザコと一緒にするなんて…」

「マルスはおそらく、マルス皆の力を合わせれば、ボクの魔法を反射できると踏んだんだろう。分身といっても力は、それぞれが持っていたみたいだし」

斬る。

「それは確かに事実だったかもしれない」

泡を斬る。

「だがそのために、一つの間違いを起こした」

斬った。

「それは…」

「しまった、そういうことかぁっ!!!」

「一か所に集中して集まってしまったということだ!!!」

「桜―――!!!!!!」

「太陽砲!!!」

光が二人の神をつつむ。

爆発。

「こそくな技も、作戦も、絶対的な力には、かなわない」

「戦略より戦術なんだよ、末端はな」

「さて―――」

優希の提案。

「桜、もうちょっと共闘しない?せめて日暮れ前三十分まで」

「オケ。正直魔力使い果たして、一人じゃ辛いとこだった」

「実はボクも」

久しぶりのように思えた。

桜と、

優希と、

心から笑い合えたのは。

「勝つぞ!」

「おう!」

そして語られることのない死闘が始まった。

大した戦いではない。

気力が持つかどうかの戦いだ。

そして日暮れ三十分前。

二人は立っていた。

コアに。

満身創痍だった。

二人とも。

あらかたは片付いたようだった。

残るは、優希と桜のみ。

「三度目も勝つ!!二度あることは三度ある!」

桜。

「三度目の正直!!!」

優希。

そして始まる、初めての真剣勝負。

邪魔するものはない。

邪魔する舞台もない。

邪魔する人間関係もない―――。

初めて真正面から行われる、二人だけの真剣勝負だった。


斬って斬って斬りまくる