スリープ3(マルホン)
マルホンのスリープ3は、体感器攻略が可能だった。
今、体感器を使うと、ゴトで逮捕されるが、
(と言っても体感器を使って攻略できる機種はひとつもないw)
その当時は、合法だった。
体感器攻略法を編み出したのは、
やはり、キャッツタイムズ社だ。
機種によっては効果抜群で、
通常1/200~1/250の大当たり確率が、
1/30~1/50くらいまでアップするので、
デジタルさえ良く回る台なら、勝率100%だった。
体感器といっても、市販の電子メトロノームを改造したものだ。
よく使われたのがセイコーの電子メトロノーム。
初期の攻略jは(機種名は忘れた)電子メトロノームをそのまま使っていたようだ。
ヘッドフォンをかけて音楽を聴くふりをしながら、
頭の中でリズムを取り、ストップボタンを押すという方法だった。
だが、早々に店に見破られ、ヘッドフォンをつけたままパチるのは禁止になった。
そして、考えられたのがメトロノームに発振器を付け、
体内のどこか(外からは見えない位置)に発振器をテープで張り付けるという方法だった。
いわゆる電子体感器の誕生である。
発振器が体に接触していると、その音が脳内に響くのである。
場所は首筋の動脈の部分が一番聞きやすくベストだった。
当然、襟付きの服を着て、発振器は外から見えないようにする。
だが、それでも音の大きなパチンコ店では、はっきり聞き取れなかった。
そこで、併用されたのが耳栓。
耳栓をすると、外からの音はほとんど遮断され、
発振器の音だけが脳内に響くのである。
なぜ体感器を使えば、(一部の)機種が攻略できたのか。
当時の出目システムは、今ほど複雑ではなく、
2秒~4秒のループの繰り返しになっていた機種がたくさんあったからだ。
早い話、大当たりの位置を探り出して、
ストップボタンでその位置を直撃するのである。
これはデジパチだけでなく、スロットにも攻略可能な機種があった。
ただ、かなり正確に押さないと無意味な徒労に終わるだけだった。
俺が攻略していたスリープ3は、
0.03秒単位で、できるだけ正確にヒットする必要があった。
毎回、きっちり0.03秒単位でヒットすることができれば、1/30の確率で大当たりする。
2回に1回、ヒットすることができれば、1/60の確率だ。
俺は調子の良い時は、毎回ドンピシャの位置でヒットできたが、
調子が悪い時は、多少ずれることがあった。
要はその日の体調次第w
0.03秒は、普通の人間の限界値だそうだ。
(売れない)ミュージシャンは、普通の人より、リズム感、反射神経が良いので、
体感器攻略で日銭を稼いでいる人が多かったらしいw
反射神経の鈍い普通の年寄りには無理だった。
20万円も出して買ったのに、結局使いこなせず、
無駄な出費になったご老人も多かったと聞く。
スリープ攻略では、いろいろ店とトラブった。
できるだけ目立たないように、店員が周りに居ない時を見計らって
ストップボタンを押していたのだが、
スリープの場合、左右の出目がテンパイすると、
「ピッピッピッ」と音が出るので、どうしても目立ってしまうのだ。
普通に打っていたら、20回に1回程度しかテンパイしないのだが、
俺の場合、3回に1回の割合でテンパイしていた。
初めて行った店でのことだったが、
わりと静かな店だったので、テンパイ音がやけに目立ってしまった。
一度大当たりを引いたあと、
周りの客のヒソヒソ声が聞こえ始めた。
そして、まもなく店員がやってきた。
誰かが店員にチクったのだろう。
おそらく、
「あの人おかしいよ、何かゴトでもやってるんじゃない?」
みたいなことを言ったに違いない。
「しまった!」と思ったが、後の祭りだ。
俺は事務所に連れていかれた。
「ストップボタンを使うのはやめてください。
これ以上使うのなら、店から出ていってもらいます」
この言い分は店の横暴である。
「押してもいいよ」という意味で、ストップボタンは付いているのだ。
保安通信協会の検定もパスしている。
それを押すなという権利は店にはない。
だが客の正当な権利を主張しても無駄なことは解っているので、
「はいはい」と言って、
残っている玉をカウンターに流し、店を出た。
俺が何を失敗したかと言うと、
初めて行った店で、店員や常連客とまったく馴染みがないのに、
いきなり攻略法を使ったことである。
攻略法を使う場合は、常に周りの様子を覗いながら、
店員や常連客ともそこそこ仲良くなり、
時間を掛けて、地味に稼がないといけない。
店員や常連客を敵に回して良いことはひとつもないのだ。
その頃は、目の前の小銭を稼ぐことしか頭になかったので、
失敗したことは多かった。
店からあらぬ迫害も受けた。
打っている後ろで店員にびたっと張り付かれたり、
耳栓を外せと言われたり、
さっき書いたように、事務所に呼ばれ、
出入り禁止を喰らったことも一度や二度ではない。
そういうことをパチプロの勲章であるが如く、
自慢げに話す自称プロは多いが、決して自慢にはならない。
俺に言わせれば、立ち回り方が下手なだけのことで、
むしろプロとしては恥ずかしい話なのである。
