怪談とは銘打っていますが、1ページにはほんの1文しか書かれていません。
内容紹介より、本文の1篇を引用すると
こんな感じ。
別に怖くもなんともないでしょう?
単純にそこにある文章を読むだけだとなんともないけれど、この本の肝は“ほんの一文から、情景を詳細に想像すること”にあります。
何も詳細が書かれていない。だからこそ、この“お得な物件”がどんな部屋であるかを想像してみる。
お得と言われているから、なかなか小綺麗で間取りも使いやすい、本来ならそこそこのお値段がするような1DK。内見の際も、おかしな空気は感じないし、実際以前に事故物件に住んだ事もあったが、特別何も起こらなかった。
入居条件は洗濯機を回し続ける事だけ。
即契約して住み始めたその部屋は、やっぱりおかしな事なんて何も起こらなくて、じきに洗濯機を回す事もなくなる。
別に何も起こらない。
洗濯機を毎夜回し続けるのは電気代もばかにならないのに、今までよくも律儀に守ったものだ。
今日も洗濯機を回さず寝た。
少し喉が渇く。
何か飲むために起き上がろうかと思ったとき、体が揺さぶられる。まるで、食事を求める子供が親を揺さぶり起こそうとするかのように。
一人暮らしの部屋で。
洗濯機は回っていない。
揺さぶる力はどんどん強くなっていく。
洗濯機は回っていない。
…といった具合に、一文を自分で膨らませて楽しむこの「一行怪談」、普段本を読まないという方にもオススメです。
また、もう少し物語になってる怪談が良いなあ…という方にはこちら。
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