3年間で一通りの技術を身に着けてからやめるためには 何をどのように行動しなければいけないかを徹底的に考えました。
とにかく練習時間を確保することが困難な環境なのです。
ブラッシングから始まり、シャンプー、ワインディング、カラー塗布、ブロー、そしてカット、カットは ボブスタイル、エイヤー、グラデーションの3パターンです。などやるべきことはたくさんあります。やるべきことはヤマズミです。どうすれば合理的な練習をできるのかが問題なのです。
そんなころチャンスが訪れたのです。
名古屋の若い経営者4店舗が協力して 9月初旬に「カットコンテスト」を行うことが決まりました。
当時の私は 入店してブラッシングとシャンプーを覚え、試験に合格したころのことです。
これはチャンスだと思いました。 カットコンテスト出場を言う名目を創れば カットスタイル3パターンのうちの一番むつかしい、グラデーションカットを教えてもらえるのではないかと考えたのです。
そして聞きました。「このカットコンテストに出場するために、どのような資格が必要なのですか?」と聞いたところ、免許がなくても出場できるという答えでした。
私は 出場することに決めました。
その理由は 一つ一つ順を追って練習していたら、3年間で終わらないのではないかと不安だったのです。
これから ワインディングを練習する段階にはいるのですが、どうしても3年以内で終わらせるためには 生意気だと思われようが、傲慢だと批判されようがどうでもよかったのです。この下心が カットコンテスト出場の動機だったのです。とにかく3年で免許を取り、美容師をやめたかったのです。そのための作戦でしかなかったのです。
常に「苦難」を避け、トラブルから逃げる生き方き方に安住していたのですが、大きく変わり始めたのです。「辞める」という目標が 「苦難」という言葉の意味に違いが生まれました。真正面から受け入れなくてもよいことに気づき、乗り越えられないことにも意味があることに気づいたのです。自分なりに理解してゆけば済むことなのだと 気づきました。
言い換えると、ぶつかってダメなら 辞めれば済むことだと開き直ることができたのです。自分自身の限界に気づき、無理しない生き方をしようと思いました。
そして 「無理しない」ということが自分にとってどういうものかに気づきました。美容業界の在り方に縛られることなく、自分のやり方ですれば済むことなのです。どっちみち「辞めてしまう」のだから、周囲に迷惑をかけなくて済むことなのです。気にすることはないという結論になったのです。
自分の中に眠る「辞める」という熱い目標が創り出した行動は 周囲の人たちには 仕事に燃える熱心な行動派だという誤解を創り出していたようです。
そして その誤解は 私自身の考えとは全く違う方向へ導くようになったのです。カットコンテスト出場というたくらみが 驚きの結果をもたらしたのです。予選をトップで通過したのです。