ストリング内に角度の違うパネルが混在する時 | 元太陽光発電技術者の道楽ブログ

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30年余り太陽光発電に携わってきましたが、リタイアすることにしました。
これまでの経験を活かし、我が家の屋根太陽光発電や購入した分譲太陽光発電所の状況・運営・評価などをはじめ、太陽光発電の技術に関連したことを中心に呟いていこうと思います。

最近私のところに興味ある質問がありました。それは「太陽光発電のIVカーブ測定を行ったところ、下図の赤丸に示されているような歪が見られたが、どのような原因が考えられるか?」というようなものでした。

IVカーブのこのような歪は、アレイやストリングの一部に影がかかった時に見られるもので、質問者さんに影がかかっていないか問い合わせてみました。すると、影はかかっていないけれど、このストリングは一部のパネルの設置角度が他と異なっているという返答が返ってきました。

 

確かに、影がかかっているのではなく角度が異なっている場合でもこのような現象が起こりえますね。

 

これは、ちょっと難しい話ですが、太陽光発電ではストリングの中で電流の少ないパネルが存在した時、全体が直列になっているために少ない電流で律速されるものの、電圧のかかり方によってはではバイパスダイオードが作動して多い方の電流が流れ始めるために見られる現象です。

 

ま、細かいところまで理解する必要はありませんが、アレイやストリング内の一部のパネルに影が入った時に、このようなIVカーブの歪はよく見られます。影が入らなくでも、一部に電流の少ないパネルがあった時に起こる現象なので、角度が異なるパネルがあった時にも起こることになります。

 

質問者さんの話では、同じストリングの中に設置角度が10度のものと20度のものが混じっていたようです。10度と20度の違いで、上の図ぐらいの電流の差がでて歪が生じたのですね。

 

これは設置角度の影響なので、トラブルが起こった訳ではありませんが、気にはなります。全体を同じ角度にするとこの問題は解決しますが、そういう訳にも行かないでしょう。一応、パネルはバイパスダイオードで保護されていますので、特に問題があるという訳ではなく、このまま運営しながら様子を見るので良いと思います。