産総研の成果報告会2017に行ってきました3 | 元太陽光発電技術者の道楽ブログ

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30年余り太陽光発電に携わってきましたが、リタイアすることにしました。
これまでの経験を活かし、我が家の屋根太陽光発電や購入した分譲太陽光発電所の状況・運営・評価などをはじめ、太陽光発電の技術に関連したことを中心に呟いていこうと思います。

前回からの続きです。成果報告会の配布資料は産総研のHPにアップされていますので、それも参考にしてください。

 

今回の報告で私が最も参考になったのは、各種モジュールの経年劣化。これには筑波産総研と九州産総研から報告がありました。まず、筑波の報告は下の図。

 

10年で5%ぐらいの劣化と想定された値が出ていますが、さすがにアモルファスSi10%ほど劣化していますね。CIGSは劣化が3%のものと8%のものに分かれています(サンプルは2モジュール)。これにより劣化がSiより多いと見るか、少ないと見るか難しいところですね。

 

一方の九州産総研は下図の結果です。

 

CIGSはいきなり光照射効果で10%ほど効率が上がり、その後2年間はほとんど劣化していません。試験期間が短いせいか、他のSiモジュールもほとんど劣化は見られません。筑波の試験では光照射効果が見られませんが、これは筑波の試験の値は一年間の平均を採っているからだと思います。CIGSは光照射効果を持つけれど、劣化が少ないかどうかはまだ良く判りませんね。

 

他にはそれほど興味を持ったものはありませんでしたが、参考になったものは・・・、

 

ペロブスカイトは最近急激に効率が向上して注目を浴びていますが、報告の中に「500時間で劣化が5%程度で安定」というものがありました。500時間というと半年にもならないので、この程度の安定度だとペロブスカイトはまだまだ使い物にならないなという印象を受けました。

 

PIDについてはNaと電圧の影響と言われていますが、詳細の劣化機構については良く判っていないようですね。いろいろな研究報告がありました。結局、EVAを使っている限りNaの移動を止められないのですかね。シリコーンを使ってPIDを防ぐという報告もありました。シリコーンだとNaは移動しないのかな? しかし高そう。

 

少し変わったものに、インターコネクタの接続用にハンダを使わずエポキシに金属粉末を混ぜた導電フィルムを開発したというものがありました。ハンダよりも柔らかいので、ストレスを吸収し接続はずれなどが起きにくくするのが狙いのようです。この手のトラブルが時々ありますからね。フィルムなので長期信頼性が心配ですが、面白い試みだとは思います。

 

今回はこんなところかなぁ。今回はポスターが97件とやたら多かったので、駆け足で見て回りました。見落としもあるかと思いますが、ヒマな時にでも配布資料を復習して、気がついたことがあればまたブログにアップしようと思います。

 

 

 

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