こんばんは。

大好きな安城市の在宅医療に貢献したい!

日だまり訪問看護ステーション

看護師 山田万理です。

 

3月生まれのスタッフが2人いるので

産休中のスタッフも来てくれて

みんなで一緒にケーキバースデーケーキを食べて

お誕生日をお祝いしました。

 

常勤スタッフが産休に入ってから

怒涛の毎日を過ごしていると

前回のブログに書きましたが

緊急コールが多発していて

イレギュラーな業務が多いのです。

 

少し前までは

深呼吸をしたら1日が終わっていたと

感じた時間の速度が

最近はまばたきしたら

あれ?もう1日が終わってしまった

というくらいに時間が過ぎていきます。

 

そんな毎日ですが、スタッフの誕生日を

お祝いできる幸せを感じたり

WBC観戦で(もちろんテレビでね)

侍ジャパンに勇気をもらって

元気に過ごしています。

 

私は野球野球に詳しくありません。

子供会の役員をしていたとき

ソフトボールの練習に付き合うのですが

右手にグローブを何とかはめて

小学生男子に

「え? 役員さん左利き?

右手にグローブはめて

どうやってボール投げるの?」と

呆れられたことがありますアセアセ

 

でも応援することが好きなんです!

 

日だまりの利用者さんも

WBC観戦して侍ジャパンから

元気をもらっている方がたくさんいます。

利用者さんが関心がある物事を

同じ目線で見たいという気持ちもあって

全試合観戦しています。

 

ベンチの雰囲気がとてもいいグッ

あのベンチで30分でも一緒に

侍ジャパンと過ごしたらフル充電できて

向こう1年は

私の120%で生きていけそうだし

大谷選手のインタビュー記事は

考えさせられることがたくさんあります。

 

『練習ができて食事ができて

寝心地がいいベッドで寝れることが幸せ』

そんなようなことを言っていて

日常に感謝する生き方には

惚れ惚れします。

 

私もたくさんのお仕事に恵まれて

人の役に立てることに感謝しながら

健康で食事を楽しめること

ぐっすり眠ることができる幸せを

噛みしめながら生きていこうと思います。

 

 
 

 

今日、スーパーで買い物をしている途中に

緊急コールがありました。

「少し前からなんですけど

右の脇腹から腰にかけて痛がって

つらそうなんです。

どうしたらいいでしょうか」

Sさんのお孫さんからでした。

 

Sさんは日だまり利用者の中で

最高齢の99歳女性です。

 

お孫さんの口調が切羽つまっていたので

買い物かごの中身を

元の場所に戻して急行しました。

 

訪問したらSさんが

眉間にしわを寄せて辛そうな表情で

冷や汗をかきながら

「神様、私がどんな悪いことを

してしまったのでしょうか」と

神様に許しを乞いながら

七転八倒していました。

 

 

Sさんの既往歴は

心不全、逆流性食道炎

膵のう胞性腫瘍です。

 

膝の痛みで歩けなくなりましたが

1か月前まではトイレに行けてました。

動かなければ痛みはないので

痛みを和らげる薬が手元にありません。

 

在宅医に往診依頼して

薬が処方されて対処するのは

時間がかかります。

救急搬送することにしました。

 

救急隊は意識レベルを確認するために

氏名、生年月日、年齢を訊ねます。

 

冷や汗をかいて痛みに悶えながら

「Sと申します。

生年月日は大正13年●月〇日

99歳になりました」と

答える様子を見ていたら痛々しくて

「お願いです。

一刻も早く病院に搬送してください」と

手を組んで

マスクの下でひとりごちていました。

 

 

 

 

 

Sさんとの出会いは昨年の3月。

 

息子さんは他界されていて

介護職をしているお孫さん一家と

6人で暮らしています。

庭の草取りをして

新聞にくまなく目を通していたSさんが

衰弱して数か月の間に

食事が摂れなくなり

寝たきり状態になってしまいました。

訪問看護の利用目的は

看取り支援だったのです。

 

エンシュアリキッドを1日2~3缶飲んで

効率的に栄養補給したら

みるみるうちに回復して

5月にはお尻歩きで

トイレに行けるようになりました。

 

Sさんは80代まで

北海道でひとり暮らしをしていました。

 

「雪かきが本当に大変でね

ひとりで暮らすのがツラいな

しんどいなと思っていたら

孫が一緒に暮らそうと言ってくれた。

船の上で

幸せだなぁってしみじみ思ったよ」と

話してくれたことがありました。

毎日雪かきをしていたので

基礎体力が80代の人並以上なんです。

 

回復したら自立心が高いSさんは

日中一人で過ごしている時間に

トイレに行くようになりました。

 

便が出て始末できなくて

オムツが脱ぎ捨ててあったり

畳が尿と便で濡れていたり

お孫さんが仕事から帰ると

驚く光景を目にすることが続いたので

訪問介護(ヘルパー)と

月に数回ショートステイを

利用することになりました。

 

Sさんが社会交流できて

お孫さんが介護と仕事、家事

子育てを両立するためです。

 

 

昨年10月ショートステイ中に

黒色の吐物を嘔吐して救急搬送されて

入院しました。

 

逆流性食道炎の診断で

点滴と内服治療をして

短期間で軽快して退院しました。

98歳(当時)が入院したら

寝たきり状態になりそうなものですが

お尻歩きで移動していたSさんが

軽く手を添えたら

歩けるようになっていました。

むしろ身体機能がアップしている!

 

私、びっくりして

「入院して歩けるようになるとは

Sさんご立派ですね。励まされます」

と言ったら

 

「病院でお尻ついて移動してたら

看護師さんがびっくりして

転んだの?けがはない?って

心配するからね。

壁をつたって手すり掴んで歩いてたら

歩けるようになったよ。

死ぬまでトイレには行きたいよね。

お迎えが来るまでは

昨日の自分を越えて生きていたいよね」

と言いました。

 

98歳の深い言葉に感銘を受けて

私、言葉を失いました。

 

私も

少しでもいいから昨日の自分より

今日の自分は成長していたい

という思いで

日々アップデートを目標にしていますが

まさか98歳のSさんが同じ思いでいるとは。

 

しばらくお元気に過ごされていましたが

心臓の機能は衰えていきました。

 

 

今年の1月3日に

「ショートステイから帰ってきたら

トイレに行くのもフラフラで

ゼーゼーと肩で呼吸をしている」と

お孫さんから緊急コールがありました。

 

訪問したらSさんは寝ていて

私に気づくと目を開けて

「遅くに来てもらってすみません」と

にこやかに対応されます。

血圧は140台で酸素飽和度は94%

会話で息切れを起こすことと

肺音と足の浮腫みから

心不全の徴候を認めましたが

緊急性はないと判断しました。

 

確定診断のためにはレントゲンが必要です。

でも在宅ではできません。

救急搬送する程の重症ではありません。

 

幸いにも1/4から在宅医のクリニックが

年明けの診療開始日だったので

在宅医に報告相談して

救急搬送は見合わせて

翌日クリニックで

レントゲンを撮ることになりました。

胸水が溜まっているのを確認されて

利尿剤が処方されました。

 

頻尿のためオムツ内排泄が増えましたが

在宅医の処方調整が絶妙だったので

心不全が短期間で軽快して

1/17の訪問の時には看護師につかまって

トイレまで歩けるまでに回復しましたグッ

 

1月生まれのSさんは99歳になりました。

驚くべき99歳です。

 

昨年の今頃、看取り支援を目的に

訪問看護の介入がスタートしました。

 

 

 

 

 

心肺蘇生は望まない

自宅で穏やかに最期を迎えたい

大切な人を看取りたいと思うなら

往診対応している訪問診療と

訪問看護の併用をお勧めします。

 

往診対応しているかかりつけ医がいれば

死亡診断をしてもらえるので

自宅看取りは可能ですが

看取りまでのプロセスに寄り添う

訪問看護を利用した方が

穏やかな気持ちで介護ができると思います。

 

 

心肺蘇生を望まないのに

容体が急変した時に救急車を要請すると

心臓マッサージや気管内挿菅されることがあります。

救急隊は救命が使命だからです。

 

心肺蘇生については

こちらの記事が参考になると思います

下差し 

 

 

 
 

容体が急変した時に当事者は

口が聞けない状態がほとんどなので

自分の健康にアクシデントが起きた時や

命の危機的状況の時に

望む医療や拒否したい医療処置を

家族や大切な人に

伝えておくことが大切です。

 

いわゆる

 『人生会議』と呼称される

アドバンス・ケア・プランニングです。

   

 

 

 

 

Sさんは99歳で

心肺蘇生は望んでいないし

介護職のお孫さんは

自宅看取りの心づもりをしています。

在宅医と訪問看護を利用しているので

医療環境が整っています。

 

今日なぜ私が救急搬送をしたかと言うと

ダイヤグリーン激痛を速やかに

 緩和する方法がなかったから

ダイヤグリーンレントゲンやCT、エコーなどの

 画像診断が必要な状態だったから

です。

 

お孫さんからLINEが来ました。

『胆嚢炎の診断で

高齢のためHCUに入ります』

 

人生に真摯に向き合ってきたSさんが

神様に守られて

苦痛が和らいで穏やかに

今を生きていますようにと

願うばかりです。

 

80代で雪かきをして

98歳まで庭の草取りをしていた基礎体力と

「昨日の自分を越えて生きていたいよね」

と言ったSさんの精神力を信じて

『おかえりなさい』が言える日を

待ちたいと思います。

 

 

それでは今日はこの辺で。

最後までお読み頂き

ありがとうございました。