こんばんは。

大好きな安城市の在宅医療に貢献したい!

日だまり訪問看護ステーション

看護師 山田万理です。

 

医療の現場で

『おめでとうございます』と言うのは

退院と出産の時くらいだと思う。

他にもあるかな?

 



1月16日 大安吉日

お孫さんの結婚式に参加する

Mさんの付き添い介助をしました。

キラキラと輝く新郎新婦に

心からのおめでとうございますを

伝えることができて

幸せな日でした。

 

訪問看護の利用方法には

介護保険(要支援1.2 要介護1~5)

医療保険(社会保険などの健康保険証)

保険適応外の自費サービス

と3種類あります。

 

介護保険はケアマネジャーが作成する

居宅介護サービス計画書に基づいて

医療保険は医師の指示や指導に基づいて

看護を提供します。

 

使い分けはこちらの記事をどうぞ

  下差し


 

結婚式の付き添いなので保険適応外で

長時間のサービス提供になります。

貸し切り介護タクシーに乗って

10時に自宅を出発

11:45~挙式

12:45~披露宴に参加

帰宅したのは16時20分でした。

 

普段はデイサービス以外の日は

ベッドで過ごしているので

ずーっと車椅子に乗車して過ごすのは

さぞかしお疲れになったことでしょう。

Mさんは要介護5なのですから。

 

R3年の12月下旬に脳出血を発症して

入院治療中、年明けて早々に

脳梗塞を発症しました。

 

後遺症で仮性球麻痺となり

嚥下機能障害(食べる飲むこと)

咀嚼障害(食べ物をかみ砕くこと)

構音障害(おしゃべりすること)が生じて

口から食べることが難しくなり

胃ろうを造設しました。


昨年の今頃は

胃ろうで栄養管理していたのです。

 

胃ろうという医療処置は

『生きる手段』にもなるし

『延命という目的』にもなります。

 

ボーダーラインはどこか?

 

私は胃ろうを造設することで

その人の尊厳が守られて

幸せな生活に繋がるのなら

『生きる手段』になると思うし

やりたいことの実現ができず

生きていることに価値を見出せず

ただ生かされている状況になるなら

『延命という目的』になると思います。

 

一昨年の1月に義父を看取りました。

10万人に1人と言われる神経難病で

病名告知をされたときに

早いと2~3年以内に

意思決定能力や

やりたいことを実現する

機能を失いますと言われました。

 

義父の親族に

胃ろうで栄養管理をしている方がいて

その方は誤嚥性肺炎を繰り返した結果

胃ろうを造設したのですが

高齢で寝たきり状態だったので

義父は自分は望まないと言っていました。

 

私は3兄弟の長男の嫁として嫁いだので

初めて娘ができたと

義父に可愛がってもらいました。

 

看護師という職業柄か

健康に関する話題を見聞きした時に

義父と話をしたり

メールやLINEでやり取りしながら

どんな生き方をしたいか

万一のことが生じたときに

どんな医療を望むか

自然と意思を引き出していました。

 

メールやLINEが証拠となり残っています。

 

認知機能が低下して

最愛の孫(私の娘)の名前を忘れ

身体機能が衰えて寝たきり状態になり

栄養管理(CVポート、点滴、胃ろう)の

意思決定を迫られ家族は

『何もしない』という

代理決定をしました。

 

義父らしさを失いつつあるなかで

栄養管理のどの選択をしても

延命でしかないと思ったから

義父の意思を尊重したのです。

 

最期は家がいいという義父の願いを叶え

義父が望まない医療処置はしなかったので

早すぎる別れだったけど

家族に悔いは残っていません。

  


 

話を戻して・・・

Mさんは食べることと

おしゃべりの機能が障害されました。

また、神経因性膀胱により

自然排尿がなくなり膀胱留置カテーテルで

排尿管理しています。

82歳というお年頃か

軽度の認知症もあります。

 

ですがもともとは

ビューティーコンサルタントとして

全国を駆け回り

美容部員の指導教育をしてきた方です。


おしゃべりが得意ですし

接待で美味しい食事を口にする機会が多く

糖尿病というちっともうれしくない

副産物を手にしました。

 

腹が減っては戦ができぬというように

低栄養の状態ではリハビリが進みません。

 

Mさんは胃ろうを造設したことで

確実に栄養確保ができて

話すことが得意で

食べることが好きなMさんは

めきめきと機能を取り戻しました。

 

仮性球麻痺はリハビリ次第で

機能回復のチャンスがありますグッ

 

胃ろう造設をしたものの

現在はお口から

生命を維持するエネルギーを

確保できる状態になりました!!

なんならおやつが食べたいそうで

血糖コントロールのために

ご家族が調整しているほどです。

 

 

結婚式の付き添いを依頼されたときに

予測したトラブルは

ダイヤグリーン誤嚥と窒息

ダイヤグリーン膀胱留置カテーテルの閉塞

ダイヤグリーン便意を催すこと

でした。

 

週1回の訪問看護で排便処置をしていて

コントロール良好ですが

環境と食べ物の変化で

もしかしたらと考えて

オムツと着替え一式を用意して

誤嚥窒息に素早く対応するために

ポータブル吸引器を持参しました。

 

1時間タクシーに揺られて

会場に到着してから

まずは便意を催したときに

どこでオムツ交換をするか確認するため

トイレをチェック。

 

立位がとれないMさんには

狭い空間でした。

ベビーのおむつ台にMさんを乗せたら

確実に破壊するわねアセアセ

かといって

ソファを借りて公開オムツ交換を

するわけにもいかないしアセアセ

 

どうしたものか・・・

 

よし! 考えないことにしよう

思考は現実化するから

お腹が痛くならないように

祈ることにしよう

 

オムツと着替え、吸引器を持参して

教会に車椅子移動したら

驚きの再会を果たしました。

 目

東京の音大卒の幼馴染がいるじゃないか。

 

2日前のこと

1年ぶりにLINEでやり取りして

近いうちに会いたいね~

なんて言ってたら会えちゃった。


声楽科卒の幼馴染が結婚式の

お手伝いをしていることは知っていたけど

教会ってたくさんあるから

まさか会えるとは。

そして讃美歌を歌っていた。

 

 

教会で永遠を誓うお孫さん夫婦を見て

涙を流すMさんを見て

もらい泣きです。

シングルマザーで

二人の子供を育てる娘を想い

孫に寂しい思いをさせないように

惜しみない支援をしてきた

Mさんとご主人が流す涙は尊かった。

 

写真撮影をしてから

フラワーシャワーの儀式があって

披露宴会場に移動です。



私人生初の

フルコース料理の食事介助をしました。

もう緊張したのなんのって!


誤嚥や窒息に備えて机の下に

ポータブル吸引器をしのばせたけど

雰囲気壊したくないし

生涯一度きりの思い出に

傷をつけたくないから使いたくない。

 

むせ込み予防のために

とろみ剤を持参したんだけど

(ご家族は楽のみも用意していた)

乾杯がグラスに注がれた

ノンアルコールのシャンパンでした白ワイン

 

え? 飲めますか?

 

訪問看護の時に

食事する場面を見ていないから

シャンパンをグラスで飲めるか分からず

ドキドキしました。

 

乾杯の瞬間

固唾を飲む私の気持ちをよそに

美味しいね~

と満面の笑顔のMさん。

 

よかった~

むせなかった~

 

その後も窒息しないように

慣れないフォークとナイフを使いながら

一口サイズに切り分けて

飲み込んだのを確認してから

次を口に運び慎重に介助しました。

 

ご家族に

「山田さんも召し上がって下さい」と

軽食を勧められ

ほんの一瞬サンドイッチに目を移したら

熱々スープに手を突っ込み

エビを食べようとして

「熱い」とつぶやくMさん。

 

Oh My Godもやもや

何ということだダッシュ

 

急いで手を拭き

エビの頭と尻尾を切り

一口大にして口に運びました。

 

「もちもちしてるね

弾力があるね」って言うから

飲み込めないのかとハラハラして

吸引器に手をかけたら

Mさんは

フランスパンに手を伸ばしている。

 

ちょっと待ったぁパー

口の中の水分もってかれるから

フランスパンは危険ですって注意


気をそらすために右手で

スプーンを持ちスープを口に運んで

むせないか見守りつつ

左手でMさんが手にしている

フランスパンを柔らかめのパンに

そっと持ち替えさせました。


私、器用だねぇOK


美味しいね~

半分食べて、どうぞ。

 

良かった、スープが程よく冷めたのね。

火傷してもいけないし

冷めたら美味しさ半減だろうし。

適温って難しいものだと思いました。

 

フルコース料理で一番肝を冷やしたのは

やっぱりお肉でした。

お肉をしばらくモグモグしていたので

風味とエキスだけ味わって

そっと吐き出してもらいました。

その代わりにフォアグラは

しっかり食べました。


食事介助をしながら

シアターに映し出される映像に

目を向けるように声かけして

ケーキ入刀や余興、手紙を読む時は

見やすい位置に

車椅子をセッティングして

お孫さんの晴れの日を

めいいっぱい楽しめるように

気を配りました。

 

お嫁さん姉妹のピアノ演奏

両家と新郎新婦が分担して合奏して

Mさんの娘さんが歌う余興に

聞きほれてしまいました。

素敵すぎたキラキラ

 

BGMも私が好きな曲が

たくさん流れて楽しかったルンルン

 

アラフィフって結婚式に参加する機会が

少ない世代だと思う。

私の子供はまだ結婚する歳ではないし

友達や従姉は結婚してるし。

貴重な経験をさせて頂いたことに

感謝します。



お孫さんご夫婦は医療従事者です。

2021年に入籍をして

結婚式が2023年になったのは

コロナ感染が流行したからです。

 

お孫さんが結婚式の準備を始めた当初は

Mさんはお留守番の予定でした。

車椅子に長時間座れず

食事が楽しめないとなると

長時間のタクシー移動、挙式参列

披露宴参加は厳しいだろうと思ったから。

 

でも、コロナ流行が

Mさんが食べる、話す機能を取り戻す

時間稼ぎになりましたグッ

 

今日は定期訪問の日で

スタッフが

「日曜日どこに行って来ましたか?」

と聞いたら

結婚式に参加したことを

忘れていたらしい笑

 

それ聞いて私、ずっこけそうになったダッシュ

 

無事にご自宅に送り届け

我が家に帰り

晩ご飯を食べるやいなや

緊張から解き放たれて

ソファで爆睡したんです。

目が覚めたら3時でした目

 

まあいいや。

Mさんが忘れてしまったとしても

結婚式の付き添いをすることや

フルコース料理を食事介助することは

この先2度とない気がするから

私が一生覚えています。

 

今をこの時を生きるMさんが

楽しく穏やかに過ごせるように

これからも寄り添いたいと思います。

 

お孫さんご夫婦がこれからもずっと

幸せな日々を過ごされることを

願っています。

心よりお祝い申し上げます。

 

 

今日のブログは

保険適応外の訪問看護の紹介でした。

 

セカンドオピニオンや受診に同行して

医療用語を解説して欲しいとか

医師に相談することを打ち合わせておいて

代弁して欲しいとか

旅行の付き添いなど

要望があれば相談に応じる

訪問看護ステーションは全国的にあります。

 

記念日作りのお手伝いは

看護師冥利に尽きますし

モチベーションアップします。

お気軽にご相談下さいね。

 

 

 

それでは今日はこの辺で。

最後までお読み頂き

ありがとうございました。