こんばんは。
大好きな安城市の在宅医療に貢献したい!
日だまり訪問看護ステーション 山田万理です。

今日は、昨日書こうと思っていた内容にします。
出会いから別れまで3日間の関わりで
看取り支援をしたIさんのことを。

Iさんは認知症がありました。



エンゼルケアをしている時に、
娘様が
「肺癌を告知されたとき
積極的治療をしないと決めたのは
私なんです。父は認知症だから。
私、間違えたのでしょうか?
抗癌剤やれば良かったのかな…」と
仰いました。


私は、
「私が娘様と同じ立場だったら
看護師という医療の知識があっても
同じ決定をしたと思います。
私、決めていることがあるんです。
私はよく、父と生き写しだって言われます。
その私がたくさん悩んで、
父のことを思って出した答えは
最善だと信じるって決めてます。」


娘様は、泣きながら深く頷かれ
「そうですね、信じる。そうだよね。」
と言いました。

一人っ子の娘様が
父親の生き方を考えるのは2回目でした。

認知症がひどくなって鍋を焦がしたり
腐った物を口にして下痢したりと
一人暮らしが難しい状況になって
娘様は引き取って一緒に暮らすことを
考えました。

でも長年暮らしてきた三重県を離れることは
父親の幸せなのだろうか
父親が大切にしてきたコミュニティを分断して
新たな環境で父親が自分らしく
過ごせるだろうか

父親の幸せ、尊厳(父親らしさ)を考えて
生活する場所は変わるけど
かかりつけ医は変わらず
近所の人や友人が行き来しやすい
施設入所を決めました。

今回は治療の選択と最期までをどこで生きるか
2つの代理意思決定をすることになりました。

高齢者に抗癌剤を投与するのは
メリットよりもデメリットが上回り
死を招くことがあります。

苦痛症状を緩和しながら
残りの時間を有意義に過ごした方が、
人生の質(QOL)を高めることができ
悔いが少ない、穏やかな、
その人らしい最期の迎え方に繋がると
私は思っています。

何も制限することはなく
痛みや苦しみから解放される

在宅療養でも緩和ケアは可能です。

Iさんの娘様は
ダイヤグリーン抗がん剤治療を中止する
ダイヤグリーン35年ぶりに親子で暮らす
Iさんが望んでいた決定をしたと思います。


Iさんは多趣味でした。
病院でマンダリン弾いたら怒られます(笑)
水彩画の道具を並べて
看護師さんにモデルをお願いしても
怒られます(笑)

Iさんは、自宅でしかできないことを
たくさん出来ました。
娘様が父親の尊厳と幸せを考えて
最善の代理意思決定をしたからだと思います。

療養の場所、望む医療の選択決定
どのように生きたいか逝きたいか
いわゆる人生会議は
認知症があると困難です。

人って起きてから寝るまで
たっくさんの選択決定をしています。

パンを食べようか、白米にしようか
ご飯食べてからお風呂にしようか
さっぱりしてからご飯を食べようか
etc.



2回目の訪問の時、Iさんに
「話をしやすくするために、
お口の中をキレイにすることを最初にしたいです。
よろしいでしょうか?」と聞いたら
指でOKマークOKを示しました。

誤嚥しやすいので、ギャッジアップ
(ベッドの頭側を上げること)して
肺気腫と肺癌があるため
呼吸状態に注意を払いながら
丁寧に素早くケアしました。

喉元と上顎に膜を張るように
痰がこびりついていました。
歯間には食物残渣が詰まっていました。
乾燥もひどかったです。

扇風機の前で大口開けて
30秒してから話をしようとすると
あら不思議
声が出しにくいし、かすれます。
健康で若くても口の中が乾燥していると
会話ができないのです。

Iさんは気管支に癌が浸潤していたので
嗄声(させい:声がかすれること)が
強かったです。
加えて口腔内環境が悪かったので
コミュニケーションがとれずにイライラムカムカ

Iさんと、娘様は35年ぶりの同居です。
あうんの呼吸というわけにいかず
意思疎通が困難で
Iさん、しまいには
「アホ!」と
近くにある物を娘様に投げつけますアセアセ

それがですよ、
お口をキレイにすると
会話が出来るようになります!!

私がお顔を拭こうとしたら
「息苦しいから顔は拭かなくていい。」

娘様が、
5日くらい排便がないことを私に言うと
「通じは少し前に、これだけ(小指の先を示して)出たから、今日は出るはずがない。トイレで出たんだ。」
3日前までトイレに歩いて移動していました。


会話がしやすいように環境を整えて
まずはyes/noもしくはAかBのどちらかで
答えられるような問いかけをして
その理由をじっくりと聞くことを繰り返すと
認知症があっても 内容によっては
意思決定ができることがあります。


私は、目線を合わせて、実況中継のように
・今から何をするか
・今何をしているか
・次に何をするかを
伝えながらケアします。

上の入れ歯を外します
口の周りを拭きます
下の歯を磨きますetc.

細かく伝えて、本人が頷いたり
OKを示してから次の作業に進みます。
丁寧に選択決定を積み重ねることが
その人らしさ(尊厳)を守ることに繋がります。
その人の意思を尊重することが大切。

認知症があっても
意思決定能力は残っています!
物事が自分の決定で進むことを実感して
尊厳を保ち自信を持って
毎日を過ごして頂きたいです。


ケアをしていたら、何かの拍子に
Iさんが声を上げて笑い
OKマークOKでステキな笑顔を見せました。

娘様が
「お父さんの笑顔、久しぶりだねえ。
ああ良かった~。」と仰いました。

私も嬉しくなりましたラブラブ

これだから看護はやみつきになります。
思いが通じ合う瞬間は感動します。

エア文字を書くけど読み取れなくて
「大きめのホワイトボードと
太めのペンがあると書きやすくて
読み取りやすいかもしれません。」と
私が伝えたら、翌日には準備されていました。

残念ながら活用はされなかったけど
父親の思いを理解したいという
娘様の愛情を感じました。


認知症の方の意思決定能力を引き出すのは
聴き方、質問の仕方次第だと思います。
何よりも代理意思決定をする
介護者を支えることが1番大事です。

毎日が修行です。(楽しみながら音符
コミュニケーション能力を磨き
人間力を高めて引き出しを増やします。


今週、お二人の新規利用者さんが退院されます。
新たなご縁に感謝です。

忙しくなるだろうからと
今日はお休みをもらいました。


お風呂場の、取り切れないカビが
どーにも気になって
「そうだ!屋外用のペンキ塗ればいいんだひらめき電球
ひらめきました!

壁を汚さないように
マスキングテープを貼り付けて
気になるカビに塗ってみた。

あれ?はじいちゃう。
なんで!?
ヤバい、変なとこにペンキ塗っちゃったアセアセ

カビは隠せないのに
壁にペンキがつきました。
帰宅した旦那さんに話したら
「何で調べてからやらんの?
発想に驚くわ。
シリコンに水性ペンキ塗っても意味ないし。」
あきれ顔です。
次の休日に何とかしてくれるそうです。

頼もしい旦那さま。
いつもありがとう。

それにしても
看護しか出来ないのか私は・・・(涙)
お仕事頑張ろっと。


それではまた明日。