こんばんは。
日だまり訪問看護ステーション

看護師 山田万理です。
 
 
 
Iさん(男性)は
2月頃から
気持ちの落ち込みが見られます。
既往歴は、糖尿病(インスリン注射あり)
肝硬変、両足首骨折(杖歩行可能)
お一人暮らしの生活保護受給者です。
 
 
数年前にうつ状態になり
休職歴があります。
その時は、生活保護ではなかったから
自由にお金を使えていたし
インスリン注射もなかったから
低血糖症状を恐れることなく
行きたいところに行けて
気持ちを発散することができていました。
 
ストレス解消の方法があり
受診することなく自然治癒したそうです。
 
 
最近は、意欲が低下して
何もしたくなくなり
食事の支度も億劫
お風呂にも入りたくない。
低血糖症状を起こすのが怖くて
外出もできず引きこもりがち。
 
 
メモ低血糖症状とは
血糖値が正常範囲以下に下がった状態のこと。
吐き気、冷や汗、手足の震え、異常な空腹感、
だるさ、動悸が初期症状で
適切に対処されないと
痙攣や意識障害、昏睡、死を招きます。
 
 
繰り返しますが、Iさんはお一人暮らしです。
週2回のヘルパー、週1回の訪問看護以外は
お友達が遊びに来ないと
人と関わることが少ないです。
 
うつ状態で人との関わりを拒絶して
引きこもると…
 
自宅で低血糖症状を起こして
対処がされなかったら…
最悪の場合
ヘルパーもしくは看護師が
発見死することもあります。
孤独死のリスクが高いということ。
 
 
Iさんは、
「あの頃(うつ状態のとき)の自分に
戻っちゃってる。」
と言います。
 
1日のほとんどをベッドで横になって
過ごしています。
 
栄養バランス不良で摂取量も不安定なので
血糖コントロール不良になりました。
訪問看護師が主治医に相談して
低血糖発作を予防するために
インスリン投与量が調整されました。
 
 
睡眠と活動量のバランスが悪く
ベッドで横になっていると
起きているのか寝ているのか
意識を失っているのか
自分で分からないと言います。
肝硬変からくる
肝性脳症の症状なのかもしれませんが。
 
 
あの頃に精神状態は戻っちゃったけど、
病気は進行していて
身体状況はあの頃とは違う。
 
だから自分を自分で信頼できない。
自信がない。
1人の時間が不安で怖い。
 
要支援2のIさんは
訪問介護(ヘルパー)を利用して
入浴の見守りと洗濯・掃除の
生活支援を受けています。
 
 
訪問看護は週1回30分未満です。
週1回30分で1週間の経過を把握して
話を傾聴してメンタルケアは難しく…
毎回30分を越えてしまいます。
(でも介護保険の限度額を越えてしまうので
30分未満の請求をしています。)
 
 
ヘルパーさんから
栄養バランスが悪いから体調が悪くなる
バランス良く食べないとダメですよ
 
今日こそはお風呂入って下さいね。
時間が余ってしまうので。
と言われる。
 
Iさんは、ヘルパーさんからの言葉で
不甲斐ない自分を自覚して苦しんでいます。
 
 
うつ状態の方には
励ましや指示的態度は逆効果です。
甘えでもないし怠けてるわけでもないんです。
 
 
私は、Iさんの気持ちが
すごーくよく分かります。
適応障害からうつ状態になり
3カ月の休職歴があります。
 
 
私が3カ月で回復出来たのは
周りの人の優しさに守られて
温かさに支えられたからです。
 
 
旦那さんは、
「トップギアで走り続けることなんて
無理なんだって。休憩、休憩。」
 
「何もしたくないなら、何もしなくていい。」
 
「ただここに居てくれたらそれでいい。」
 
「ここ(自宅)は安全な場所だから
のんびりダラダラ過ごせばいい。」
 
と言って私を
とことん甘えさせてくれました。
今まで走り続けてきた私を認めて
守ってくれました。
 
子供たちも優しくて
「無理しないでね。」
「どんな母たんも大好きだよ。」
と言ってくれました。
 
そのままでいいよ。
ゆっくり、ゆっくり。
 
と言ってもらえる環境だったから
回復出来ました。
 
その代わりに
私も環境を変える勇気を出しました。
私には荷が重かった仕事を退職しました。
無責任な自分、出来ない自分を認めて
否定したり責めることをやめました。
 
 
自分に向いていないことをすると
自分の気持ちに嘘をつくと
こんな大変なことになってしまうんだ
ということを学びました。
 
 
新しい環境に身を置いても
しばらくは自分を責める癖が抜けなくて
フラッシュバックに呑まれそうに
なっていました。
 
 
でもどんな時でも家族がいてくれたら
私は大丈夫です。
 
 
Iさんはお一人暮らしです。
不安や恐怖感は計り知れない。
 
ケアマネージャーさんが
「私、医療の知識がないから
無意識に落ち込ませること
言ってしまったかもしれないです。」
と仰いました。
 
ケアマネージャーさんに
今のIさんの状況は、甘えや怠惰ではなく
精神科を受診推奨する程の
生命の危機状態であることを伝えました。
 
 
なので、今からここからは
・出来ていることを認める言葉がけをする
・指導や指示ではなく助言やアドバイスをする
ことをお願いしました。
 
 
来週、サービス担当者会議があります。
Iさんが、安全安楽に生活するために
関連職種はそれぞれ何が出来るかを考えます。
 
Iさんは
どうにでもなれと投げやりになっています。
でも、日だまり訪問看護のスタッフは
諦めていません。
ゆっくりと自分らしさを
取り戻してもらえるように
大切に関わって行きたいと思います。
 
 
自分の経験は
何一つ無駄なことないなぁって思う。
あの経験がなければ
挫折を知らずに今まで生きてきたはず。
人の痛みやツラさに鈍感だったと思います。
 
 
今日は、改めて
家族と私を大切にしてくれる人に
感謝しました。
Iさんのおかげです。
ありがとうございます!
 
 
では、また明日~。