こんばんは。
日だまり訪問看護ステーション 山田万理です。

今日は、お医者さんに『共感』という魔法をかけてもらい、たったの15分で怒りが消えたというお話です。

今日、新規利用者さんの初回訪問をしました。


火曜日
ケアマネージャーさんから利用相談あり。
Fさん、70代後半、女性。
肺癌末期状態。
既往歴は、喘息、糖尿病、高血圧。
急変リスクが高く、状態観察と緊急時対応、医療連携、介護指導、場合により清潔ケアをお願いしたいとのこと。
ご家族様が訪問看護利用を希望されている。
明後日10時にベッド搬入時に、担当者会議を開きたいので参加して頂けますか?
とのことでした。

あいにく、その日その時間は都合がつかず、参加が出来ませんでした。

ご家族とケアマネージャーさんと話して、本日10時に初回訪問することになりました。

木曜日
ケアマネージャーさんから電話連絡あり。
明日は都合がつかず同行できないが、事業所にいるので困りごとがあれば電話連絡下さい、週1回程度の利用からスタートしたいそうです。


え??
初めましてのお宅に訪問看護師が1人で?


今までに、退院前カンファレンスで顔合わせしていて、退院後の初回訪問は、訪問看護師単独で訪問することは、何度もありました。

訪問看護の利用目的を、利用者さんとご家族が理解していて、訪問頻度とケア内容が決まっていて、関連職種それぞれの役割分担が出来ていればいいんです。

今日の訪問直前のこと。
ケアマネージャーさんから電話連絡あり、
「体調悪くて帰りますので、困りごとがあれば事業所の誰かが対応するので連絡ください。」

もう・・・
言葉を失う
看護師らしく、
「それは大変、お大事にして下さいね。」
と言ってしまう自分にも。

今日、単独で初めて訪問したときのこと。
娘様
「奥に(母)いるから入って。」
口調が強いのもあるけど、訪問看護利用を要望されているとは思えない雰囲気。

「訪問看護についてケアマネージャーさんからどのように説明されていますか?」
と聞いてみました。

娘様
「○○町の看護師さんが今日10時に来るって。どのように説明されてるかって、逆に聞きたいですけど、何を聞きたくて質問されてるんですか?」

口調が強いのもあるけど(2回目しつこい)
無表情なのもあって、

え?怒ってらっしゃるの?
利用を希望されているようには思えないのですが…

「日だまり訪問看護が介入してもよろしいのでしょうか?
利用される方は、訪問看護が何をしてくれるか知っていて、期待する役割があって利用されます。
ケアマネージャーさんからの情報と、利用目的のご理解が一致していないように思います。」
とお伝えしました。

スタート地点もゴールも違うのなら、限られた尊い命の時間に伴走できませんから。

重要事項説明書を用いて、訪問看護が出来ることを説明しました。
利用に同意されました。
利用目的は、症状観察、緊急時対応、医療介護連携です。

ケアマネージャーさんから情報はありませんが、ヘルパー利用をされるそうです。
介護医療連携を要望されているのに、チームメンバーの紹介はありません。
どういうことでしょう。

少しずつ、イライラしてきました。

検温と状態観察して、Fさんが左胸が痛いと仰るので
「病気のことをどのように先生から聞いてらっしゃいますか?」
と聞いたら、

少し離れたところから
娘様が
「病名には触れずにお願いします。」
とピシャリ。

え?
癌末期状態で、病気に触れずに症状観察して、本人の疑問に対してどのように説明すればいいですか??

介護力や在宅療養の限界を把握しようと
「例えばですが、ご本人が自分でおトイレに行けなくなったら自宅で介護は無理だなとか、
最期まで自宅で過ごさせてあげたいとか、
ご要望がありますか?」
とお聞きしました。

「今は考えてない。長く家に居させてあげたいだけ。」

2月中旬に退院してから、医療機関を受診していません。食欲低下で、固形物は食べていません。
なるべく早く、かかりつけ医に今の状態を把握してもらい、苦痛症状の緩和のための処方を検討してもらうことを勧めました。

訪問を終えて、私の心が
ザワザワ、ザワザワ。
イライラが止まらない。
(ケアマネージャーさん、話が違うじゃないですか!!)

なので、かかりつけ医の先生の病院まで、症状コントロールや病状説明の言動統一について相談に走りました。

先生は、もう何年もFさんと向き合っておられます。
今日に至るまでの持病の経過や、今回の癌診断に至るまでをお話して下さいました。

先生は、私の話を聞ききって下さり、
・既往歴と癌診断に至るまでの経過
・ご本人とご家族は、少し病気の認識が低い
・苦痛症状が自制不可になると受診する
・数年前に比べると、定期的に受診するようになった
・肺癌疑いで精密検査を勧めたときも消極的だったこと
・体に起きていることを、喘息からきていると捉えているかもしれない
・告知はされてるから、年齢的に認知症の症状で忘れている可能性がある
・受け止め切れずに逃げているのかもしれない
・本人には病気のことを改めて説明しなくてもいいのかもしれない
・呼吸困難と咳は喘息のせいということにする
・なぜ痛いのかと本人が疑問に思わないように、痛みを緩和しましょう
・受診した時に、レントゲンやエコーなどの検査をして、自分から病状説明します

先生とお話したのは、15分にも満たなかったと思うけど、私のイライラがスーッと消えていて、ザワザワしていた心が穏やかになっていました。

まるで、魔法にかかったようです!

何年もFさんとご家族に向き合っている先生は、年単位でFさんの変化を肯定的に評価しています。

なのに、私ときたら、今日の40分程度の関わりでプンスカして、何て小さな人間なんだ(ホントに小さいです、私145㎝なんです。)

先生は、私が感じたザワザワやイライラに共感して鎮めて下さいました。

私を労うことや励ますではなく、
もちろん患者さんと御家族を責めるでもない。

エピソードを話して下さり、
頷きや、そうかぁという短いワードで傾聴して下さり、
アイデアを提案して下さり、
説明責任を果たすことを約束して下さいました。

先生は素晴らしい人格者です!

私も器の大きな人間を目指そうと心から思いました。

そのために取り急ぎ、
美味しいご飯食べて、コーヒー飲んでひと息して、自分を幸せにしてあげようとランチに向かった私でした。
イライラしてたのお腹が空いてたのかも。
私、食いしん坊なんでね。

先生の魔法のおかけで、ケアマネージャーさんにガルルーって吠えないですみました(笑)
先生に感謝。

⭐ケアマネージャーさんへ⭐
訪問看護が医療保険で関わるときでも、サービス担当者会議に参加したいです。

参加出来なかったときは、議事録頂きたいです。照会の回答もしますので。

ケア目標、ケア内容、職種ごとの役割分担、連携のための情報共有についてみんなで話し合って、足並み揃えたいです。

何卒、よろしくお願いします。