今注目されているあの裁判を見て思う | Mrs.Waywardのひとりごと

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アメリカ暮らしの中で体験すること、感じること。

たくさんの人が興味津々でその成り行きに注目している、ジョニー・デップとアンバー・ハードの裁判。暴力、暴行、虐待があったとでっちあげて彼の評判や名誉を傷つけたとして名誉棄損でジョニーが元妻を訴えているアレ。

 

俳優としてのジョニー・デップは嫌いではないし、上手い俳優だと思う。でもこの裁判自体には別に興味はなかった。

 

多くの人はジョニーの見方みたいね?多分、玉の輿に乗って結婚した元妻が結婚生活が上手くいかなくなって、暴力をでっちあげて多額の慰謝料や財産分与を手に入れて離婚したくせに、みたいに思われてる?

 

ジョニーと結婚したことで有名になったのは事実だよね。それまでこの女優さんのこと、全然知らなかったし。

 

昨日、テレビで昨日の裁判の模様が報道されていたのを何気に見ていた。アンバーが、ジョニーから暴力を受けた時の状況を細かく証言していた。綺麗な顔をしかめながら興奮して説明していて、「どの順番で起こったのがはっきり覚えていないのだけど、」と何度も言う。一見、言ってることがひっちゃかめっちゃかに聞こえる。

 

そんな彼女を見ていて思い出した。

 

幼い時に、私は母親が父親から暴力を受けるのを数えきれないほど目撃している。身近で殴る蹴るの暴力を振るわれている母親を直視しながら、ただただ硬直して立ちすくんでひたすら父親が静まるのを待つ。声も涙もなく、息すら止めているような状態で。

 

大柄の父が小柄な母に振るう暴力は凄まじかった。母は抵抗もせず、声も立てず、殴られっぱなし。当時10歳くらいだった姉が、お父さん、やめてよ!とよく止めに入ろうとしていたのを覚えている。

 

細くて小さい母の顔や身体はいつも痣だらけだった。詳細を書くのを躊躇するような酷い酷い暴力も振るわれていた。

 

アンバーの証言を聞いていて、それらの記憶が蘇ってきた。大きな男が怒鳴りながら暴力を振るう。あの恐ろしさ。どの順番でああされて、こうされて、こうなって、ああなった、なんて暴力を受けた方は後から思い出して理路整然と説明できるものじゃない。

 

アンバーのあの苦痛の表情や涙が、演技だと思う人もいるのだろう。訴えられてるんだから、自分の言い分を信じてもらうために大げさな表情、表現をしていないとは言えない(女優さんだけに)とも思う。でも、ひどい暴力を頻繁に受けていたことは絶対に事実だろう。

 

メディアでは、「人生最大の演技か?」なんて言われてしまっているけれども、暴力や虐待を受けたことのない人にはこの恐怖は絶対にわからない。暴力を受けていた事実すら覆されて嘘だと判断されてしまうのは、彼女が可哀そうだし理不尽だと思う。

 

仮にお金やステータスが欲しくて結婚したのだとしても、激しい性格の嫌な女だったとしても、そしてジョニーがいくら世界的な人気俳優だっとしても、暴力を振るわれていい、振るっていいなんてことは絶対にない。

 

この裁判に関しては、どちらかが絶対的に嘘をついているわけではなく、双方の言い分に真実も嘘も混ざっているんだと思う。人間誰だって、自分側の記憶や言い分がいつも真実だもの。

 

いずれにしても暴力男は最低最悪。そんな男をパートナーとしている人はさっさと切らなきゃダメよ!