近所にとても信頼できる友人がいる。
アメリカ人のSだ。
私の場合、友達は広く浅く、よりは、
狭く深く、のタイプ。
心を開いて話せる友人というのは、
数えてみると3人くらいしかいない。
Sはその一人。
渡米したばかりの頃、学生でシングルで、
アパートにアメリカ人女子大生の
ルームメイト達と住んでいた。
とんでもないアメリカ人ルームメイト(全員白人女性)
にいつも悩まされていたので、
アメリカ人女性とは親しい関係にはならない、
なれない、とずっと思っていた。
学生時代の女性の友人はもっぱら日本人か、
その他のアジア人で、アメリカ人の友達と言えば
男性しかいなかった。
結婚後しばらくして今の家に越して来た時も、
このあたりの住民はほぼ100%白人なので、
学生時代と同様、親しい女性の友人はできないだろう
と思っていたし、フルタイムで働いていて
家にほとんどいなかったので正直どうでもよかった。
引っ越ししたばかりの頃、夫がSと話す機会があった。
夫を通じて、彼女と彼女のご主人が日本が大好きだと
いうことがわかった。Sはまだ私の顔も見ていないのに、
「私とあなたのワイフ、絶対親友になるわよ!」
と言っていたらしい。
それが13年前。
それを夫から聞いた当初は、何言ってんの、この人?
という感じだった。私にはそんな気持ちはさらさらなかった。
それから、「彼女のお友達になりましょう作戦」は、
何年も何年もず~っと続いた。ホームメイドのお菓子を
持ってきてくれたり、ディナーに招待してくれたり、
私の子供達に誕生日のプレゼントをくれたり、
一緒に出かけようと誘ってくれたり。
そして、彼女は実際にすごく優しくていい人だったので、
もう意地をはって、アメリカ人の女の友達なんていらない、
などと思う理由がなくなってしまった。
アメリカ人の女なんて・・・という偏見を持ってた私も、
いつの間にかだんだんと彼女と親しくなっていった。
今では他の人には絶対話さないようなことでも、
彼女には話せる。それはSのほうも同じ。
明日は、そのSとひさびさのランチデートだ。
大抵、3時間くらいアッという間に過ぎてしまう。
彼女の前では、自分らしくいられるし、
アングザエティも感じない。
夫同士も気が合うので、時にはダブルデートで
出かけるときもある。日本食が大好きなので大抵
日本食レストランに行く。こんな田舎に住んでいても、
この二人は外国人に対する偏見がなくてオープンだ。
こんなアメリカ人女性もいるのね、と思わせてくれたSと、
もうすぐ引っ越すことで離ればなれになるのは寂しい。
Sにも引っ越すことはまだ話していない。
引っ越した後は、もうこんな友人はできないのではないかな、
と思う。
彼女と彼女の夫はおしどり夫婦でいつも仲がいい。
彼らはハイスクール・スイートハート同士で若くして結婚
したので、Sは私より数年年上なだけなのに、もう子供達は
全員成人して結婚している。なので、いつも二人で食事に
行ったり、映画を見に行ったり、週末の小旅行に出かけたりと、
もう30年も結婚しているのに、こんなに仲がいいなんて
幸せな夫婦なんだなぁと感心していた。
こちらでよく聞く言い回しに、
"You don't know what goes on behind closed doors"
というのがある。
表面的にはどれほど幸せそうで、すべて順調に見える様子
だったとしても、閉まったドアの向こう側(家庭内で何が実際に
起こっているか)なんて他人にはわからない、ということ。
私と接するときはいつもひたすら明るくて優しくて、
穏やかなSであったが、去年の始めごろ彼女から、
彼女が他人にはひた隠しにしていた秘密を打ち明けられた。