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私に語りかける言葉を、私に渡すように、あなたに渡す。
◇
昨日の夜、寝ていて、ふと、目が覚めた。
時間が知りたくて、スマホを取る。
まだ２３時４０分。
そして、画面に、思いがけない人からのメッセージ。
今も時々メッセ―ジをやり取りする、以前担当していた患者さん。
◇
子供さんが、熱を出してもう１０日、
お医者さんにはあと３日ぐらいで治る、と言われているけれど、
いろんなことが頭にあって、不安でたまらない。
◇
私には子供がいない。だから、子供を思う母親としての彼女の気持ちは分からない。
だから、ただ彼女であるところの存在に心を寄せる。
ただ、不安で震えている彼女に心を寄せる。
不完全で不十分な私だと思うけれど、そんな私を求める気持ちに、心を寄せる 。
◇
そして、私は私の中の小さな子供に話しかける。
ねぇ、
怖かったね。
不安だったね。
◇
私の中の小さな子供に向けたその言葉を、そのまま、彼女にメッセージした。
◇
彼女からは、
涙が止まりません、ありがとうございます、
という感謝の言葉とともに、
自分だけが頑張っていると思うから、こんなに不安になるんだろうか、
子供も頑張っているのに、
という返事。
◇
また、私は私の中の小さな子供に話しかける。
私の中の小さな子供は、目をいっぱいに見開いて、言葉を失っている。
震えている。
怖いって気持ちを、抑えなくていいよ。
泣いていいよ。
だって、怖いんだもんね。
◇
スマホを手に取った。
◇
あなたが怖いの。それは全然悪いことじゃない。
感じるのをやめなきゃいけないことでもない。
抑えないでね。
小さなあなたの恐怖を、感じきってあげてね。
怖かった、って。
それだけでいいよ。
◇
そう返信して、やりとりは終わった。
◇
今朝になって思った。
これが私の一つの形かもしれない。
治療？セラピー？つながり？今は適当な言葉が見つからないけれど。
私の中の小さな子供に話しかける。
それが、私に気持ちを寄せる人の心につながればいい。
本当の意味で、相手の気持ちなんて分からないのだから。
私が、私というフィルターを通して、
世界を見ているのだとしたら、
私に語りかける言葉を、
私に渡すように、彼女に渡す。
彼女のお子さんが、少しでも早く、熱が下がり、元気になりますように。
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～人には幸福な未来を選び取る力がある～
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