プロフェッショナルコースのレメディ学習は、北米カナダから南アメリカにかけて生息する大蛇~ガラガラヘビの毒液を原料にしたレメディを学びました。
まずは、レメディの全体的なエネルギーを感じてもらうため、古典的なケースをご紹介しました。
4歳の男の子。
原因不明の血小板の破壊による、突然の敗血症状態を起こし、大量出血。
特に指先と、口からの出血が特にひどく、身体は、少し触れただけで、簡単にあざができていた。
電話をかけてきた男の子の母親も、パニック状態だったらしい。
この男の子を救ったレメディが、ガラガラヘビの毒液で作ったCrot-h.だったという話です。
ガラガラヘビの毒性は、神経毒、出血毒、心臓毒、壊死毒、血液凝固阻止作用、浮腫作用、など多岐に渡ります。
咬まれると、結果として、身体の各部分からの大量出血(吐血・血尿)や黒色の内出血が起きます。激しく悲惨な状態になる恐ろしいものです。
このレメディのプルービングをすると、黄熱病によく似た症状がでます。
黄熱病は、現代に生きる私達にはなじみのない病気ですが、明治生まれの細菌学者、野口英世博士がアフリカにまで渡って、研究した病気です。
彼自身も、感染してしまって51歳で亡くなっています。
今も、千円札に印刷されていますが、私が子供のころは、偉人伝によく登場する人物でした。
そして、不思議に思うのですが、野口英世の研究者としての最初の業績は、ガラガラヘビによって引き起こされる症状についての、病理学的研究だったそうなのです。
古典的なマテリアメディカ“Allen‘s Keynote”にも「黄熱病により、黒かまるでコーヒーカスのような嘔吐物を吐く」という記述があります。
このレメディは、ホメオパシーの全盛期の頃、黄熱病だけでなく、狭心症、脳卒中、感染症など、様々な深刻な症状に使われてきたようです。
蛇のレメディと言えば、コンスタンチン・ヘリングがプルービングしたLach(ラケシス)が最も有名ですが、このレメディのプルービングも、彼によってなされました。
Crot-h.は、Lach.が一番だと思って処方したとき、うまくいかないときに使うと良いと言われています。
Lach.が左に症状が出やすいのに対して、Crot-h.は、右に症状が出やすいレメディです。
どちらも、ヘビのレメディに特有の、手足がなく、地面を這って生きていかなければならない動物らしい被害者意識を持っています。
MIND; DELUSIONS, imaginations; pursued, he is; enemies, by
(精神:妄想、想像:敵に追われる。)
MIND; DELUSIONS, imaginations; persecuted, that he is (51)
(精神:妄想、想像:迫害される)
あとは、脱皮を必要とする動物ならではの、窮屈な感じや、締め付けられるのを嫌う傾向。
首周りや喉が弱点で、窒息感を持ちます。
古典的なマテリアメディカが、深刻な身体症状のオンパレードなのに対して、最近のマテリアメディカは、精神症状が豊かに表現されています。
1948年生まれのホメオパスFrans Vermeuleが書いた “Synoptic Reference” のこのレメディのページは、とても興味深い内容です。
特徴的なことは、家族への感情。
家族のことをすごく心配する人なのに、嫌う人でもあります。
家族の犠牲になっているような気持になる。家族への義務を負わせられ、家族に縛られているような感覚。
家族を助けないといけないけれど、したくない。
自分の両親との関係性が濃密すぎて、パートナーとの関係を維持することができない。
ホメオパシーがもっと盛んだった時代には、深刻な身体症状を持った患者さんたちをホメオパシーで治療していた医師が多くいたのでしょう。
しかし、人間関係や現代医学では、解決しようのない問題を抱えてホメオパスのところに来る人の多い現代では、Frans Vermeulenの著書のような情報に助けられることの方が圧倒的に多いと思います。