PSORINUM (ソライナム) | SUNNY GARDEN

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ESTUDIO EL HOMEOSUTASU.

VAMOS A MIRAR Mi JARDIN.

ホメオパシーのレメディは、おもに自然界の動物、植物、鉱物を使って作りますが、それ以外にも、レメディの原料となるものは、様々あります。

レメディの原料となるものの中で、ホメオパシーを学び始めたころの私を、とりわけ驚かせたものに、Nosode(ノゾ)と呼ばれる人間の病巣部の組織から作られたものがあります。

Nosode(ノゾ)のレメディでは、結核菌や癌細胞、疥癬、淋病、梅毒にかかった組織を原料とするものなどが、有名です。

これらのレメディを学ぶとき、大切なのが、それぞれの病気の部位や症状と、その病気が流行した時代背景など。
こういったところから醸し出されるエネルギーは、そのレメディにマッチする人の全体像と重なるところが多いのです。

CHK専門コース、上級のクラスの、今月のレメディ学習のテーマはNosode(ノゾ)でした。

私は、疥癬のレメディを担当しました。

疥癬について、学ぶ前に、「Nosodeとはなにか?」という復習もかねて、「病巣部」というものの存在について考えてもらいました。

結核菌も、癌細胞も、それ自体は大きく成長したい、蔓延りたい。
でも、それは、その人にとっては大変な不都合。
生命力は、おいそれとは許してくれません。
でも、その生命力の統制の緩んだすきをねらって、なんとか成長しようとします。
しかし、成長した先に待っているのは、その人の死であり、病巣部の命の終わりでもあるのです。
インドの巨匠サンカランは、Nosode(ノゾ)のテーマを、「DESPARATION(絶望、自暴自棄)」と表現しています。


疥癬のレメディ。
名前は、Psorinum.(ソライナム)。Psor.
疥癬に感染した人の治療前の皮膚の水疱病変から内溶液を採取し滅菌し、純水に希釈したものから作ります。

疥癬という病気は、ヒゼンダニという小さなダニが、皮膚の角質層内に寄生して起こる皮膚の感染症です。
人類にとって、古代から世界中に広がっていた、最も根源的な病気。
皮膚接触で感染し、どんどん広がっていきます。
症状は、激しい痒み、赤色丘疹や小水疱、膿疱ができること。
特に夜間、布団の中で体が温まったとき、痒みはいっそう強まります。

日本では、昭和20年ころ、敗戦直後の日本人が、物心両面において、なにもかもを失ってしまった時代に爆発的に流行したようです。

このレメディの精神症状の中心は、Lack(欠乏)です。
気力、愛情、金銭、意志、希望、知識、野心、反応、回復力、生命力、などの欠乏。
それゆえ、この人は絶望して、悲観的で、不安で、見捨てられた感じを持っています。

身体的な特徴は、衰弱、空腹感、寒さや天候変化に対する弱さ。

レメディの全体像は、人間の角質の下で、悪臭を放つ分泌物をだし、人間の皮膚を餌として、ずっと食べつづけ、食べても、食べても空腹感が治まらず、角質の外に出てしまうと、温度変化に耐えられずすぐに死んでしまう、ヒゼンダニのイメージでしょうか。

古典的なマテリアメディカ“Allen’s Keynotes”では、慢性病において、とても良いレメディが選ばれているにもかかわらず、改善できないときに使うとよいレメディだとされています。
体質レメディとして一番有名なサルファ(硫黄)のレメディが示されているがうまくいかないときにもよく使われるレメディです。
サルファも、皮膚、腸に症状が出やすい、空腹に弱いというところでは、このレメディによく似ています。



また、“Allen’s Keynotes”のこのレメディのページには、最後の部分に、私の心を引き付けた-一行がありました。

「高純度の金(Aurum.)であろうと、最もけがれた汚物(Psorium)であろうと、それが何からできているのかにかかわらず、人間に対するその優れた恩恵に対し我々は感謝したい。」

黄金に光り輝く「金」を原料とするレメディも、人間の病巣部から作られる「汚物」のようなレメディも、白い砂糖玉にレメディ液をたらされ、ガラス瓶に入ったら、ラベルの名前を見ないと区別がつきません。

しかも、マテリアメディカでは、同じ症状ががいくつも並びます。

中でも、超有名な精神症状は、

MIND; DESPAIR  絶望
MIND; FORSAKEN feeling  見捨てられた感覚
MIND; SUICIDAL disposition  自殺傾向


原物質はお互いに、あまりにも違うものなのに、レメディにして症状をマテリアメディカに並べてみたら、けっこう同じ言葉が並ぶ。

これが、ホメオパシーの不思議であり、むずかしさであり、魅力かもしれません。
ホメオパシーって?
同時に、言葉って?

そんな思いになりました。