去年の4月、
若い男性が2人入ってきた。私より10歳年下。
職業はツインの彼と同じ。
その内の1人と
久しぶりに仕事をした。
最初は私が年上ということも
あったと思うが、
謙虚に敬語を使っていた。
職種は違えど、
彼は若いので経験の差から
私をよく頼ってきた。
素直にかわいい。
彼に対してだけにそう思うのではなく、
こういうことは
この経験年数になればよくあること。
特にかわいい以外の感情を
抱いたことはない。
その男性は
好みのタイプでもなんでもなく、
ただの同僚程度だった。
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それが先日、
彼が敬語の合間に
タメ口で会話してきた。
いつもと違う。
ほんの少しだけ
そう思ったが、
気づかないふりをした。
その彼は
いつもお腹を空かせている。
若いからだろう。
背も180cm以上あり、
男らしい体つきをしている。
女性としては身長が高い私は、
男性を見上げることが日常的に少ないので、
こういう背の高い男性が側にいると
自分が女性であるということを
実感できる。
そういう思いは表には出さないけれど。
いつもなら何か食べに
すぐに自分の部屋に戻るのに、
もう30分近くも
私の横で自分のプライベートな話を
している。
気づかないふりをした気持ちが
さっきよりも強く顔を出す。
この人も?
この人も私に何か感じてる?
そう頭に浮かんだ途端、
私は仕事をするふりをして
彼から離れた。
私は彼の気持ちを確かめるために
彼を試したのだ。
私に浮かんだ、
彼も私に惹かれているかもしれない
という直感を確かめるために。
彼から離れた私は、
彼と2メートル程
離れたところにいた。
その位置関係で
また暫く彼の話を聞く。
いつもと何も違わない、
という雰囲気をわざと出して。
すると、
それこそ唐突に、
彼が明日の仕事の把握をしたいと
言い出した。
明日の仕事の把握って言ったって、
いつもと同じ。
はっきり言って把握なんて必要ない。
それにも気づかないふりをして、
明日の予定を説明してあげる。
彼は力強く立ち上がり、
私の方へ歩いてくる。
ほら、きた。
自分で試しておいて、
少し緊張しながら
私は今度はその場所から
動かない。
そういう時に限って
運がいいのか悪いのか、
私たち2人きり。
彼が
仕事の予定表を手にしている
私の側まで来た。
近い、どころではない。
彼は私の身体に身を寄せた。
私の左側に完全に彼がくっついている。
よく知りもしない、
好意を抱いているわけでもない
男性の性エネルギーが
ダイレクトに
私に入り込んでくる。
男。
私には今これが必要なんだと
理解する。
自分が相手を好きかどうかすら
関係ないのではないか…
私の身体が欲している。
"男性"の性エネルギーを。
いや、今回の場面では
"男性"なんてきれいな表現は
似合わない。
"男"の性エネルギーが欲しい。
彼のエネルギーは
雄々しい。
力強い。
性エネルギーも個性があると知る。
男によって、
それは明らかに違う。
私は
彼が自分にくっついていることも
また知らないふりをした。
大胆な行動に出た彼に
驚きと多少の動揺をしていたが、
それを微塵も表に出さなかった。
彼も同様に、
身体が触れている、という
普通ではない状況に全くそぐわない、
至って落ち着いた口調で
仕事の話を続けている。
なかなか度胸あるじゃん。
そんな意地悪な気持ちが湧き、
私の中から
女としての悪魔が姿を現した。
自分から身を引くこともせずに
仕事の話を続け、
背の高い彼を意味ありげな目で
見上げてあげた。
その目には
女の性エネルギーを最大に込めて。
こういう場面で
相手に念を飛ばす
という能力を意図的に使ったのは
初めてだ。
どうする?
また挑戦的な悪魔の気持ちが湧く。
彼もまた
逃げずに私の目を見つめ、
一瞬目を細めてから
意味ありげな笑顔を作り、
「明日のことはわかりました。
また来ます。」
と言ってその場から離れていった。
"また"、ね。
了解。
また私も念を飛ばす。
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若い男はその性エネルギーも強い。
他の男とは違う、
荒削りの性エネルギー。
若さ故か、
自制が効かず暴走するがままの強引さ。
自制する必要性を感じていないようにも
思える。
目の前の女に性的に惹かれて
すぐ様行動を起こし、
その性エネルギーを解放したいという
強い欲求のままに従っている。
それは官能的、とは違う。
エロい。
その低俗な感じに、
今、私は惹かれている。
それも男らしいと感じる。
考えてみると
強引に迫られたのは
かなり久しぶり。
強引な感じ、
悪くない。
悪くない、ではなく、
いい。
そういう男の強引さで
女は安心するものなんだなと
そう発見する。
紳士的な男らしさもいいけど、
欲望のままに迫ってくる男らしさもいい。
私は男の人に
ある程度の強引さを求めているのだ。
相手の男性によって、
自分の中から
いろんな顔をした女が出てくる。
今回は悪女が出てきた。
次会うとき、
どういう顔してくるかな。
因みに彼は既婚者。