前回に引き続き、どうぞお楽しみください!
 
海藻類が豊富な環境にあるにもかかわらず、台湾の人々がその貴重な存在を少しずつ取り入れるようになったのは、ここ数十年のことです。何年も前に海藻は栄養価が高いことが分かっていましたが、沿岸の住民はゲリジウム属の海藻(石花菜)を取るだけで、他の海藻をほとんど食べませんでした。そのため、台湾博物館の研究グループの元リーダーである黄樹芳氏のような人が、何度も基隆の和平島や八斗子地区を訪れ、住民に海藻の見分け方や食べ方を教えたり、海辺の苔にひき肉を加えて美味しい海藻団子を作ったり、色んな海藻料理を紹介する活動をしてきました。また、 海藻は食用だけでなく、押し花や手作りの紙、アクセサリーなどにも利用でき、地域の特色を打ち出すのに役立つことも伝えていきました。
 
さて、ここでおなじみの海藻類をご紹介しましょう。一般的に潮間帯に生育する緑藻類は細胞壁が薄く、特に岩礁に大量に生息するワカメなどには、おもに葉の部分が多く、柔らかくて繊細な触感は口当たりも良いです。コンブのように深い場所に分布する海藻は厚みがあり、歯ごたえがあります。
 
日本は昆布の一大産地であり、「マンニトール」と呼ばれる、乾燥した昆布の表面にある白い結晶は、うまみの源です。昆布の値段は千差万別で、良い昆布は2~3切れで数万円もするほどです。このような高値の昆布は直接食べるものではなく、風味が強ければ強いほど良いというものでもありません。上品で香りが良いものほど貴重で、日本料理ではおもに出汁に使われます。より安価で厚みのある昆布はそのまま食用に使われます。昆布には独特な塩味と甘味があり、それはミネラルやアミノ酸、特にグルタミン酸が多く含まれていることに由来していて、それがうまみの源となっています。
 
今やよく食卓にも上がる海藻ですが、海に生息する海藻は水中のミネラルを吸収するので、海域が汚染されると海藻がその影響を受け、人の健康に害を与えるのではないかと心配されることでしょう。陸上の植物が大地から供給される重金属を吸収するように、海藻類も確かに水中の汚染物質が吸着する可能性があります。特にひじきは性質上、ヒ素が蓄積しやすく、過去に台湾の食品薬品監督管理局が日本から輸入したひじきのヒ素含有量を検査したところ、基準値を超えていたことがありました。 ですが、世界保健機関(WHO)は毎日多量に摂取しても問題はない、との見解を発表したことがあるそうです。
 
海藻は豊富な食物繊維が含まれ、カロリーが低いので美容と健康にもってこいの食物ですね。皆さんも、毎日の食卓に海藻を取り入れてみてはいかが?
(康健雑誌より)