Brother Sun, Sister Moon -29ページ目

Brother Sun, Sister Moon

駄小説のたまり場。

セミ・ノンフィクションの子供達。

昨夜、また、あの夢を見た。

「天使」の夢。

この『天使』、ワタシが仕事や対人関係などでストレスが溜まったり、疲れているときに必ず出てくる。

でも『天使』と言っても、ディズニーの映画に出てくるような、綺麗な羽の生えているものではなく、どこにでもいるようなオバサンだったり、こまっしゃくれたガキだったりする。
そんなのが、どうして『天使』なのかは、自分でも分からないんだけど。


で、昨夜出てきたのは、少々くたびれたオッサン。
どう逆立ちしても、『天使』には見えない、ただのオッサン。

このオッサン、実は何度かワタシの夢に出現してる。
何故かシチュエーションも決まってて、いつもの公園のベンチ。


「よお。」毎度のように馴れ馴れしく声を掛けてくる。

「なんだよ、今日は?」少し苛立ってワタシは応える。

「おまえ、今日はいちだんとしけたツラしてんなあ。」
一体、何処の世界に、こんな乱暴な口をきく『天使』がいるんだ?

「アンタにゃ関係ないよ。」ワタシはタバコをふかす。

暫くして『天使』が言う。
「まあ、ヨノナカ理不尽な事が多いけど、避けて通れないだろ?」

ん?

「一種<不治の病>みたいなものでさ。生きてる以上、理不尽とか不条理とかとは上手く付き合って、共存して行くしかねえんだよ。」

「おいおい。今日は説教か?」ワタシはさらにタバコをふかす。

「ほら、みろ。」
「その煙には、お前のイラダチが、山のように詰まってるぜ。」からかうように『天使』は言う。

おいおい・・・その安っぽいセリフは天上界の流行なのか?
まるで、三流のハードボイルド映画みたいじゃないか。


「息、吸ってみろよ。」『天使』は言う。
「叫ぶ前には、息を吸うもんだぜ。」

ん?

「お前、息を吐くことばかり考えてるだろ?だからすぐに、物事を諦めちゃうんだよ。」

ん?


『天使』はベンチから立ち上がり、ワタシに振り向き、こう言った。
「タバコ、くれ。」

ワタシは憮然として、タバコの箱を差し出す。
『天使』はその1本に火を付け、深々と吸い込んで、むせた。


ばかめ。ざまあみろ。


涙目の『天使』は言う。
「なんで、こんな不味いモノ吸ってるんだか。げほげほ。」
「でも、タバコだって、吸うところから始まるんだよな、げほげほ。」


吸いかけのタバコをワタシに手渡し、『天使』は背を向けてこう言った。


「お前、いつも息を吐いてから叫ぼうとしてるんだ。だから、声にならないんだよ。」

「とにかく、息を吸うことを忘れずにな。その位、不器用なお前にだってできるだろ?」




『天使』は消えた。

やれやれ。また言いたい放題言って消えやがった・・・。
そう思いながら、さっき返されたタバコを見る。



いつのまにかそれは、一輪の綺麗な白い花になっていた。
とても可憐で、か細く、でも、凛とした白い花。



やるじゃねえか。オッサン。

でも、忘れかけてたことを、思い出させてくれてありがとよ。


ワタシは、あのくたびれた『天使』に、ほんの少しだけ勇気を貰った気がしていた。