ファッションデザイナーはヨーロッパに行く必要がある訳をちょっと考えてみよう。
日本には古来から着物文化があり、ヨーロッパには洋服文化がある。
今や全世界の人が洋服を着て過ごすようになっているが1960年代くらいには日本では殆どの人は洋服を着ていたが、ちょっとした出来事の時は着物を着る人が多かった。
例えば小学校の参観日でも親は着物の人もちらほらいたし
入学式、卒業式に至ってはお母さん方は着物の人がかなりいた。
今や結婚式に出ても着物の人は殆どいない。
ここ40-50年で日本の衣服文化は大きく変わった。
結婚するときには親が数枚の着物を作って持たせてくれた。
訪問着、小紋、普段に着るウール、喪服
後一枚何かあったような、なかったような。
着物は持っていても着るチャンスもないし、自分では着られない。
着物に対しての知識は殆どなく、クローゼットに眠っている。
以前は重ねダンスにしまっていたのだが、部屋を改装したときにタンスは捨てたので、最低限の物をクローゼットに収納した。
さてこの様な背景は現実には極小さな部分である。
大きな部分としては殆どの場合洋服を着ている。
私はファッションデザイナーなので仕事柄もあり常に自分の会社で作った商品を着ている。
サンマイングを作って30年経つ。
30年自分のデザインして生産したものを着て過ごしている。
そのうち25年くらいはミラノ、パリに年2回行き続けたので合計50回以上は行っている。
ミラノ、パリではいわゆる高級プレタポルテのブティックを見て回り、毎日限りなく多くの良い服を見た。
高級ブティックではイケメンのドアマンがいて重いドアを開けてくれる。
ボンジョルノ、ボナセラ、ボンジュール、ボンソワと心躍らせて入っていく。
多くの良い服を見て、何が自分に良いのか。
良い音楽を聴いたり、おいしいものを食べたりと同じ線上にある動作かもしれない。
良い物を見ている空間にいると自分の感覚もその中に溶け合うのだ。
これはと思う商品は買って資料にして研究もした。
ブランド物はカッティングがよく、体の線を美しく見せる。
ここが一番大事だ。
私たちデザイナーは1ミリにこだわってその線を表現することもある。
良い服を着続けている人は自分を美しく見せる服を選ぶコツが自然に身ついている。
私たちデザイナーは作るときカッティングで形作り、分量感、バランス。
この様な要素を作り上げる。
最近自分のブティックアンノワールでお客様に対応しているとき、
その方に似合う服を見て頂いて鏡の中で一緒に過ごす。
鏡の中のお客様の目を見てお話をして
そのボディを完成させていく。
前からも後ろからも横からもチェックしてパーフェクトな状態に持って行く。
それは何年でも着られる洋服となる。
友達に褒められた。
という言葉をよく聞く。
特徴があるので目につきやすいのだ。
女性は褒められると益々美しくなっていく。
褒められると言うことは人生において不可欠なことだ。
日本人は謙虚な文化があるので多くの方は
ご自分のことを足が太いだの腕が太いだの悪いことをおっしゃるのだが、ご自分のいいところをおっしゃる方は少ない。
とても美人の方さえ全部がいいと言うこともなく、悪いところばかりを言われる方もかなり良いところはある。
謙遜して言われているのは解るが
もっとご自分のいいところをもっと発見して前面に出せば、何事も
クセの物なので自分に自信がつく。
すると段々自分に似合う物が見えてきて、姿勢も良くなる。
着こなしは姿勢が凄く大事で50%以上は姿勢で洋服が生きるか死ぬか。
美しい姿勢に美しいポーズ。
これは普段の練習あるのみだ。
なにごとも練習の結果なのだ。
歩くこともコーディネートすることも練習のうちだ。
練習してパーティーに参加するとか、非日常な事もして欲しい。
自分で満足のいく結果が出せたかどうかは自分が一番よくわかるはず。
この様な内容の話を織り交ぜながらアンノワールではお客様にファッションでのレベルアップッをご一緒に楽しみながらやっている。
9月は25日~29日まで開催します。