はじめに…
FCスタッフ様。
長年待ち望んでいた物を企画してくださり、どうもありがとうございますm(_ _)m
1週間というタイムリミットしかなかったので、満足いくものが書けたかは微妙ですが、例えうなぎの親分のあの方に読んでもらえなくても、ひとりでも多くのスタッフ様が読んでくだされば幸いです。
少し長いかもですが(全然少しじゃねぇwww)、死に物狂いで頑張って執筆しましたので、どうか最後まで読んでやってくださいm(_ _)m
あ、ひとつ注意事項をお伝えします。
このストーリーのヒロインの名前は、読んでいる方が妄想しやすいように○○としています。
ぜひご自身の名前を○○に当てはめて妄想フルパワーでお読みくださいませ。
よろしくお願いいたしますm(_ _)m
妄想シチュエーション
FC企画『バレンタインデー編』
「はぁ……ついに、この日が来ちゃったな……」
職場であるFC事務所にいつも通り出勤してきた私は、深いため息をつきながら、数十メートル先に建つその建物を見上げた。
(どうしよう……やっぱり今日はやめとく?……ううん、迷っちゃダメ……!もう決めたんだから……!!)
鈍りそうになる決心を払拭するように、私は頭をブンブンと振る。
(この手作りチョコレートをグンソクさんに渡すって決めたんだから……)
カバンの中から小さな箱をそっと取り出した私は、切ない気持ちでそれを見つめた。
そう……今日はバレンタインデー。
恋する女の子が大好きな人に愛の告白をする……そんなロマンチックな日に、私はある決心をしていた。
アジアのプリンス、チャン・グンソクのアシスタントマネージャーとして、FC事務所で働き始めてから早5年……
韓国の俳優であり、アーティストでもあるその人物の存在を、当時の私は全く知らなかった。
そんな人と、ひょんな事から一緒に仕事をしていくうちに、彼の凄さを間近で目の当たりにし、その類いまれなる才能と溢れ出る魅力に、いつしか私は引き込まれていった。
そして……いつの日からか私は、彼を仕事上の関係だけではなく、ひとりの男性として見ていることに気付いてしまう。
もちろんマネージャーとして、そんな気持ちを持ってはいけないことはわかっていた。
何よりアジアのプリンスである彼と、一般人の私が結ばれるなんてことは万が一にもあり得ない。
だから、彼への思いがこれ以上大きくならないよう私なりにいろいろ努力はしてみたものの……その思いは薄れるどころかどんどん増すばかりで、最近は一緒に仕事をするのも辛くなってきてしまったのだ。
(少し前までは、ただそばにいられるだけで幸せだったのにな……)
恋をすると、人はどんどん欲張りになる。
だけど、たとえどんなに願ったとしても、私の恋が実ることは一生ない。
だから私はバレンタインデーである今日という日に、グンソクさんに自分の気持ちを伝えて、今の仕事をキッパリ辞めようと心に決めてきたのだ。
(私の気持ちは伝えずに辞めようかなとも思ったけど……)
手の中の小さな箱を見つめながら、自分の思いを再確認する。
(でもやっぱり伝えたい……こんなに好きになったのはグンソクさんが初めてだから……あなたのことを好きになって幸せだったって……ありがとうって伝えたい……)
そんなことを考えていると、ふいに後ろから声が聞こえてきた。
「あれ?◯◯?こんなところで突っ立って何してんの?」
振り向くとそこには大好きな人の姿があった。
「あ、グンソクさん……おはようございます。」
いつも通りの挨拶をしながら、私は持っていた箱を彼にバレないよう静かにカバンの中に戻した。
「うん、おはよ。あー今日も寒いな~。」
ジャケットのポケットに両手を入れたグンソクさんが私の隣に並ぶ。
「早く事務所入ろうぜ……って、あれ?」
グンソクさんは何かを発見したようにじっと私の方を見ていた。
「どうかしましたか?」
「いや、何か今日の○○の服……ずいぶん暖かそうなやつ着てんじゃん。」
「あ、これですか?そうなんです、すっごく暖かいんですよ。フェイクファーなんですけど、肌触りが気持ちよくて、この前セールしてたのを見つけて思わず衝動買いしちゃいました。」
そう言いながら、着ていたブラックのファーコートの袖を撫でていると、グンソクさんがボソッと呟いた。
「ふぅーん……俺も確かめていい?」
「確かめる?何をですか?」
「そのコートの肌触り。」
「ああ、いいですよ。どうぞ。」
私がグンソクさんに腕を差し出すと、彼はニヤリと笑って言った。
「違う。そうじゃない……こうだ!」
「へ?きゃあっ!!」
グンソクさんは、いきなり後ろから私をガバッと強く抱き締めると、その綺麗な顔をファーコートにグリグリと押し付けてきた。
「ちょっ、グンソクさん?!何してるんですか?!」
「だから肌触りを確認してるんじゃん。ん~確かに気持ちいいな……」
「そ、そんなことしなくても確認出来るじゃないですか!離してください!」
「ヤだ。気持ちいいからこのまま事務所まで行く。」
「えぇっ?!ちょっと、それは……!お、お願いだから離れてください!」
「だからヤだって言ってんじゃん。ククク……諦めて大人しくしてろ。」
「そ、そんな~……」
どんなに抵抗しても一向に離そうとしてくれないグンソクさんに、私はそれ以上何も言えなくなる。
(こういうことをするの、本人は特に何とも思ってないんだろうけど、こっちの身が持たないよ……!)
さっきからバクバクと落ち着かない心臓の音が、彼に伝わってしまわないか心配でたまらない。
グンソクさんは私をからかうのがよほど楽しいのか、日頃からしょっちゅうこういうことをけしかけてきていた。
そのたびに私は必要以上にドキドキしてしまって、自分の気持ちが彼にバレてしまうのではないかと気が気じゃなかった。
(でも……そんな心配をするのも今日で最後なんだ……)
ふとそんなことを思うと、バクバクしていた心臓が、キュッと締め付けられるように痛んだ気がした。
(やっぱり少し寂しいな……)
また決心が揺らぎそうになったとき、グンソクさんが静かに呟いた。
「……○○。」
「は、はい。」
「……ありがとう。」
「え?」
「いつも俺のそばにいてくれて……ありがとう。」
思いがけない言葉に驚いた私は、グンソクさんのほうを振り返った。
「ど、どうしたんですか?急にそんな改まって……」
「いや別に。ただ……今までちゃんと言葉にして伝えてなかったなって思って。」
そう言うとグンソクさんは、ふわりと優しく微笑んだ。
「○○にはいつも感謝してるよ。日本で活動するときは、一緒にいてくれて俺を支えてくれて……本当にありがとう。」
真っ直ぐに見つめられながら言われたその言葉に、私は慌てて首を横に振った。
「な、何言ってるんですか!私はグンソクさんのマネージャーなんですから、支えるのは当然のことです!し、仕事なんだから当たり前ですよ!」
しどろもどろになりながら勢いよくそう言うと、グンソクさんは優しく続けた。
「うん。わかってる。わかってるけど……それでも言いたかったんだ。」
グンソクさんはまた優しく微笑むと、乱れていた私の髪の毛にそっと触れた。
「これから先もずっと……俺のそばにいてくれる?」
「……え?」
「俺と一緒に進むこと絶対後悔させないから。だから……これから先もずっと、俺のそばにいてよ。」
「………………」
予想もしてなかった言葉の数々に、思考回路が停止する。
(なにそれ……何で急にそんなこと言うの……?)
どう返事をしたらいいのかわからなくて、私はグンソクさんから目をそらす。
(無理だよ……一緒になんていられるわけない……だって、私は今日ここを辞めるんだから……)
そう。私は今日この事務所を辞める。
だから、グンソクさんのマネージャーとして一緒に働くのも今日で最後。
そう固く決心していたはずなのに……
気が付くと私はコクリと頷いてしまっていたのだった……
「はぁ~~~………………」
何度目かわからない大きなため息をついた私は、今日の業務を終えると仮眠室のソファーに力なく座った。
(何で私あのとき頷いちゃったんだろう……まだ迷いがあるのかな……ううん、ダメダメ!今度こそちゃんと言わなきゃ!)
改めて決心した私は腕時計をチラリと見た。
もうすぐここにグンソクさんが来る。
話したいことがあると言われ、ここで待つよう言われたのだ。
(よし……また決心が揺らがないように、自分のほうから話そう!)
そう心に決めたと同時にグンソクさんが仮眠室に入ってきた。
「あ、グンソクさん……!お、お疲れ様です。」
「うん、お疲れ。はぁ~今日も頑張って働いたな~」
そう言いながら軽く伸びをしたグンソクさんがベッドに突っ伏すように寝転がった。
「○○も疲れたでしょ?一緒に寝る?」
「い、いえ、大丈夫です。それよりあの……私もグンソクさんに話したいことがあるんですけど……」
「ん~?何?」
私はカバンからチョコレートが入った箱を取り出すと、それをグンソクさんに渡した。
「今日はバレンタインデーなので……チョコレートを作ってきました。」
「え?○○の手作り?いつも市販のいかにもな義理チョコしかくれなかったのに?」
驚いたように目を丸くしたグンソクさんが、まじまじとその箱を見つめた。
「本当は毎年手作りをプレゼントしたかったんですけど、出来ませんでした……でも今日は最後なので、ちゃんと自分の気持ちを伝えたいと思って作ってきました。」
「最後?」
「はい。私……今日で事務所を辞めることにしました。」
「は?!」
驚いたグンソクさんが、ガバッとベッドから起き上がる。
「今日で辞める?なんで?そんなの俺、聞いてないけど?」
「……急にこんなことを言って申し訳ありません。でも……もう決めたんです。グンソクさんのマネージャーとして働くのは今日が最後です。」
「…………」
私の言葉にしばらく黙っていたグンソクさんは静かに口を開いた。
「……理由は?何で辞めるの?」
「それは……」
私は両手をギュッと握るとグンソクさんを真っ直ぐに見た。
「グンソクさんのことが好きだからです。」
「……え?」
「グンソクさんのことが好き過ぎて、一緒に働くのが辛いんです。だからもう辞めます。」
私の言葉にグンソクさんの眉間に深いシワがよった。
「ちょっと待って、意味わかんないんだけど?俺のことが好きなのに俺から離れるってどういうこと?」
「だから言ってるじゃないですか。もう辛いんです……例えどんなにグンソクさんのことが好きでも、この恋が実ることは一生ありません。だから、最後にグンソクさんに自分の気持ちを伝えて事務所を辞めようと決心してきたんです。」
「…………」
「グンソクさんには感謝しています。今までの人生の中で、こんなに誰かを好きになったことはありません。あなたと出会って、あなたを好きになって……私はとても幸せでした。」
「…………」
「勝手なことばかり言ってるのはわかってます。本当にすみません……でも、どうかわかってください。」
ずっと黙って私の話を聞いていたグンソクさんは、ふーっと大きく息を吐くと静かに口を開いた。
「そんなの納得できない。」
「でも私は……!」
「さっき俺、言ったよね?これから先もずっとそばにいてほしいって。○○も頷いてくれたじゃん。」
「それは……仕事のパートナーとしてでも、そう言ってくれたことが嬉しかったから、つい……」
「仕事だけじゃないし。俺は人生のパートナーとしても、ずっとそばにいてほしいって意味で言ったんだけど?」
「……え?」
「やっぱりちゃんと伝わってなかったか……まぁそんな気はしてたけど。」
グンソクさんは苦笑すると言葉を続けた。
「だから改めて、ちゃんと俺の気持ちを○○に伝えなきゃと思って、ここに呼び出したんだよ。そしたら、まさかの逆告白で事務所を辞めるとか言い出すし。」
グンソクさんは私の前に立つと、フッと柔らかい笑みを浮かべる。
「……辞めるなよ。○○に辞められたら俺が困る。」
「…………」
「○○にはこれから先もずっと、俺だけを見ていてほしいんだ。」
「…………」
「ていうか、お互い好き同士なんだから、もう俺から離れる必要もないでしょ?」
「…………」
(お互い好き同士……?)
グンソクさんのその言葉に、停止していた思考回路がゆっくりと動き出す。
「好き同士って……グンソクさんが私なんかを好きってことですか……?そんなの……そんなの、あり得ないです……!」
「なんで、あり得ないの?ていうか、俺今までに結構○○に好きアピールしてたけど?全然気付いてなかったの?」
グンソクさんはそう言うと、呆れたようにまた苦笑した。
「アピールって……もしかして、しょっちゅう私にちょっかい出してきたり、抱きついてきたりしてたことですか?」
「そうだよ。わかってるじゃん。」
「あれって好きアピールだったんですか?てっきり誰にでもしてるものかと……」
「あのね。何とも思ってない女性に軽々しく抱きつくほど、いい加減な男じゃないから俺。」
唇を尖らしながら少し不服そうにそう言ったグンソクさんは、おもむろに私の手をギュッと握った。
「こんな風に触るのは……触りたいと思うのは○○だけだから。」
「…………」
「俺の気持ち信じてくれた?」
グンソクさんの言葉に、私はゆっくりと首を横に振る。
「信じられません……グンソクさんが私なんかを好きだなんて、そんなの……」
握られた手を思わず引っ込めようとすると、逆に強い力で引っ張られる。
(あっ……!!)
気付くと私はグンソクさんの広い胸に飛び込んでいた。
「俺は○○が好きだ。」
「……!!」
低くて甘い大好きな声が、私の耳元で優しく響く。
「世界中の誰よりも、お前のことが好きだ。だから……許可してくれないか?」
「…………」
(許可……?許可って何の……)
「俺が○○のことを好きになる許可。」
「………!!」
「○○が許可してくれたら、俺も許可してやる。」
「……な、なにを……?」
「もちろん、○○が俺のことを好きになる許可だよ。」
得意気にそう言ったグンソクさんは、抱き締めていた腕を緩めると、そっと私の頬に手を添えた。
「まぁ俺のほうは、とっくの昔に許可してるけどな。」
クククと笑いながら、もう片方の手も私の頬を包むように優しく添える。
そして……綺麗な顔がゆっくりと鼻先まで近付いてくると、グンソクさんはピタリと動きを止めた。
「……で?許可してくれるの?くれないの?」
「…………」
(そんなの決まってる……)
私はグンソクさんを真っ直ぐに見つめながら、自分でも聞き取れないほどの小さな声で答えた。
「……許可……します……」
すると、ほんの一瞬フッと笑ったグンソクさんが、私の唇をそっと塞いだ。
「浮気したらカバヤキだからな。」
唇が離れた瞬間そんなことを呟いたグンソクさんは、再び私の唇を優しく塞ぐ。
(浮気なんて出来るわけない……だって私は、今までもこれからもグンソクさんしか見えてないんだから……)
そう言いたかったけれど、止むことがないグンソクさんの甘いキスに私の言葉は拒まれてしまう。
最初で最後のつもりで作った大好きな人への手作りチョコレートは……
来年も再来年も、そのさきもずっと作り続けていくことになるのだった。
☆☆☆☆☆☆☆Fin☆☆☆☆☆☆☆☆