【金を貢ぐお約束】

 高市は、総額5500億ドルの対米投資をトランプに約束した。

 当初は、不採算のリスクは日本がまる被りし、儲けは折半、10年後からはアメリカ丸儲け、という破天荒な条件が注目を浴びた。加えて、共和党支持州に工場誘致を図る利益誘導もあるのだろうとみていたが、それだけではなかった。

【米国債を売ればいい】

 拠出を強いられる日本の銀行は、投資資金は「天文学的数字」になると戦慄した。国内の投資資金を全部振り向けてもまだ足りない金額なのだ。

 それなら、保有する米国債を売ればいい。6月末で1兆1166億ドルに上るのだ。売却は、価格低下、金利上昇の圧力となるので禁じられてきた。橋本龍太郎は口にしただけで追い落とされたほどである。

 しかし、為替防衛の資金とするという名目は、いつ紙切れになるか分らない米国債を処分する格好の口実になる。実際、6月には満期短期債の一部を再投資しなかったので保有高が264億ドル減っている。(Bllomberg など)その手が封じられた。

【借金の強要】

 Wedgeで、冷泉彰彦が「…ベッセント財務長官が「伝家の宝刀」を認めたのはなぜか?」と題し、「介入にあたって米国債を売却しない」方法が導入されつつあると指摘している。円安協調介入は日本を助けるためなどではなかった。

 米国債を売却せずに、米担保にしてドル資金を調達する「外国通貨当局(FIMA)向けレポファシリティー」が検討されている。売らないで米国債を担保にしてどこかから借りろ、その上で投資しろというわけである。この報道から、日本政府は今後「円防衛のために米国債を大量に売却しない」縛りをかけられたことになる、という。

【米金融資本への献上】

 そして本日の朝日新聞に、「米の大手2銀行、対米投資に参画 シティ・JPモルガン」との記事がある。

 国際協力銀行(JBIC)が、「対米投資向けに新たに計約46億ドル(約7300億円)を米銀2行と協調融資する」。約15億ドルはJBIC、残りの31億ドルが米銀2行の分担で、米銀の融資には日本貿易保険の保険が付くという。

 何のことはない。日本が、アメリカに投資するために借りる相手は米銀なのである。しかも、保険料日本負担の保険付きで、絶対に取りはぐれのない融資であり、米大手2行は濡れ手に泡である。米政権の一連の対日要求の真のねらいは、米金融資本を儲けさせることにあった。

【後ろ向きの投資案件】

 「融資の対象は、米ペンシルベニア州とテキサス州に天然ガス火力発電所を建設するプロジェクト。事業が進展して更に資金が必要になれば、融資額を積み増す」という。

 この投資が、とめどなくふくれ上がるのは目に見えている。そのあげくに日本は借金まみれとなり、もし利益が出たとしても分配はおこぼれ程度、失敗したら借金まるかぶりである。米原発に誘い込まれて解体に追い込まれた東芝と同じ憂き目を、日本全体が味わいことになる。そういうことだ。

【国を売って地位を得る】

 問題は、化石燃料投資という反地球的投資にだけあるのではない。日本の成長のための資金が奪われる、それだけでは不足とばかりに借金を負わせられる。その帰結として、日本は徹底的に弱体化する。「貧弱な日本列島」となる。

 たとえれば、ジャイアンのカラオケ大会の費用を、ジャイアンの舎弟分から高利で借金して献納するのび太のようなものである。そうすることで権力者の地位につけてもらおうとするのだろうが、情けないことこの上ない。そのような日本人を「売国奴」というのである。まともに報じないメディアも同罪である。