【小麦色】
陽射しが夏である。朝、ベランダに立ったら腕の皮膚がピリピリした。日焼け注意の季節の到来である。
吾妻山の兎はとうに去り、鳥海山にパンダが出現したという。次に出没するのは何なのだろう。
【襲名披露】
さて、歌舞伎である。5月は団菊祭だったのだが、辰之助の襲名披露でもあった。夜の部の前半は辰之助が牛若を演じる「菊若」である。ただ、日中に歩き回ったため、ほとんど寝てしまっていた。ただし、劇中口上の間だけは覚醒した。それまで役を演じていた役者が、突然に整列して座り、物々しく居住まいをただすのだから、目が覚めざるをえない。
【身内で口上】
上下姿で大勢が並ぶのが正式だとするなら、演者だけで済ませるのは、家族口上といえるのかもしれない。当世風なのかもしれない。
辰之助といえば、初代である。松緑として舞台に立つことなく(三世松緑追贈)若くして亡くなったのだが、強烈な印象がある。それがなんと3代目である。月日の経つのは早いものである。「祖父を知らない強さ」を自認しているのだから、父に優る辰之助像の開拓を期待したい。
【揚巻に助六】
後半は「助六」である。感想は冒頭の遊女総覧が奇麗なナーである。お終い。
ア、つけ加えるなら、右近が面白かった。ペラペラと団十郎と梅玉を持ち上げ、辰之助襲名を寿いで股くぐりする。そのよどみのなさに幇間の才を感じた。劇の展開に必要がある喋りなのかは疑問だが、元々ストーリーなどどうでもいいのだから、ソレデイイノダ。
【門限の切り上げ】
終演は8時20分頃であった。
これまで、夜の部は通常9時前であり、それから国電で東京に移動して新幹線に乗る。21時40分台の最終に乗り遅れると、郡山に帰れなくなる。それで、人をかき分けかき分け、大急ぎで有楽町まで歩いたものである。
30分も早く終演となるので余裕、と思ったらそうはいかない。なんと40分代が無くなり、郡山停車の最終は21時20分になった。値上げと共にサービス低下、というわけである。
【JRの合理化】
というわけで今後、歌舞伎の夜の部は断念しなければならないのかもしれない。銀座線から上野で乗ることにすれば間に合うだろうか。
7月には、ぼたん、新之介の「鏡獅子」が予定されている。しかし、その気はあっても電車がねえ、である。松竹には、銭儲けばかり考えているんじゃねえと、JRに強く、抗議しておいて欲しいものである。
【山手線を待ちながら】
というわけで、京浜東北の方が早いかもなどと思いながら山手線をホームで待っていると、家人の携帯が鳴り、会津からの知らせが届いた。妹の連れ合いが熊に襲われた。山で作業中に腕と股を噛まれ、若松の病院に入院した。命に別状はないので安心を、というのである。
銀座で都会人の心持ちで歌舞伎について思案していたら、突如として熊に「噛まれた」である。田舎者の業はぬぐい去りがたいものであるなあと嘆息し、一人ホームでミエを切ったことであった。