【へぐセスの屁理屈】
米議会も遊んでいるわけではないようである。中央日報によると、米戦争権限法に基づく戦争の議会承認をめぐり、ヘグセス国防長官と民主党議員の間で争論があった。議会未承認で始めた戦争は、60日以内に議会承認を得るか、戦争を停止しなければならないという規定に関してである。
トランプがイラン戦争を始めたのは2月28日、議会通知は3月2日だから、5月1日が60日目になる。ところがヘグセスは承認の必要はないという。4月7日以降は停戦が成立しているので、60日期限は適用されない、というのである。
【憲法と法の趣旨】
法が規定しているのは「開戦から60日」以内の議会承認である。「戦闘継続60日以内」ではない。元々が、大統領が勝手に始めた戦争を、議会が憲法が規定する権限に基づいて事後的に承認、もしくはやめさせるための法律である。問題なのは継続しているかどうかではなく、始めたこと自体に対する議会判断なのだ。
【アメリカの劣化】
しかしヘグセスは、議会承認など不要とするだろう。トランプ政権に理屈が通用しないのには驚かないが、このままでは議会承認なしの戦争という違憲状態が続くことになる。しかし、議会に執行力はないから、止めるための現実的な強制力はない。判断を提示し、予算その他の審議を通じて、遠回しに抑制を図っていくしかない。あるいは司法判断である。
かくして、憲法違反が続くことになる。アメリカの法の支配の空洞化は深刻である。
【子供でもわかること】
ちょっと考えればわかることなのだが、社会が豊かにするために政府がやるべきことは、インフラの整備と教育である。公共財の充実である。円滑かつ創造的な経済を実現できれば、社会保障も充実する。環境破壊もやめられる。自己責任などと知らんぷりをしなくとも済む。
ところが、今の世界の政府のやろうとしていることは軍事拡大である。軍隊に金を注ぎ込むということは、対立的かつ破壊的な国際関係を出現させるということでしかない。それは究極の浪費であり、経済を混乱させ、停滞させ、やがては崩壊させずにおかない。今現在、トランプが引き起こしている事態である。イラン戦争が誰を幸福にしたというのだろうか。小学生を爆殺して誰が豊かになっというのだろうか。トランプの周囲でインサイダーをやっている連中以外誰もいない。
【大衆の本性】
それではなぜ、国民はトランプを、そのお馬鹿な政策を支持するのだろう。高市を推したりするのだろうか。それは、インフラや教育よりも戦争の方がわかりやすいから、なのだろう。手っ取り早く理解できて、興奮し、充足感を味わうことができる。自分の足元が崩れかけているのに目を向けることなく、振り回されるスローガンに熱狂する。それもまた、民主主義の実相なのである。
【嘘に負けないために】
嘆いていてもしようがない。そのような数が社会の方向を決めるだとしたら、ここは、インフラや教育、社会保障が重要であることを、広く理解してもらうしかない。そのためにわかりやすい、ただし科学的な提示が必要となる。それは、米民主党が怠り、日本の野党が軽視してきた戦術的工夫なのではないだろうか。