【ぬるま湯からの批判】

 朝日新聞が、米のイラン攻撃に「口をつぐむ日本政府」と題する政府批判の論説(?)を載せている。筆者は鶴岡路人慶応大教授である。概略は以下の様である。

 欧州は、ウクライナ問題があるのでアメリカに強くでられない。日本は、ロシアによるウクライナ侵攻を、力による現状変更の試みだとして非難してきたが、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃には口をつぐむ。首相は「イランによる核兵器開発は決して許されないというのが我が国の一貫した立場」と、イランを批判する様な口ぶりである。

 「攻撃を批判しないのなら、その理由をしっかり説明する必要がある」。「法の支配」を重視してきた日本の「一貫性が問われている」と鶴岡は〆る。

【9条がある】

 問題は、どうして日本政府には一貫性がないかである。答は明白である。国家の基本法である憲法を蔑ろにしたためである。基本法を守らない様な政府に一貫性があるはずがない。

 トランプには、「日本国民は、正義土地す所を貴重とする国際平和を誠実に希求し、…武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄している。我が国のこの原則から、今回のイラク攻撃は許されない」といえばいいのだ。

 トランプが正気を取り戻すとは思えないが、原則を示すことで、イラン攻撃の輪に加わらないという意思表示が可能になる。また、国際社会に対する「法の支配」の訴えとなる。

【国際社会における拠り所としての憲法】

 高市らが、憲法に代わるどのような国家理念を有しているかは疑問である。せいぜいが明治憲法なのだろうだが、現代の国際社会において有効とは思えない。先の大戦の敗北で欠陥憲法であることが立証されてしまっているのだ。そんなものをありがたがる国などどこにもない。下手に乗っかったら、破滅の淵に追いやられるだけである。

 鶴岡は次のようにいうべきだった。

 高市は我が国の基本法を軽視するだけでなく、何の理念も示せないので国際法違反を批判できない。「法の支配」を重視しろと訴えるよりどころがない。憲法に回帰して、頭を働かせて働かせて働かせてみたらどうだ、である。

 

【眠れない夜】

 さて、ここからは「闘病記」である。

 昨夜は欲眠れなかった。睡眠パターン一循環ごとに目が覚めるという感じであった。それはそうだ。これまで無限の彼方に何となく想定していた「死」が、月単位の期限を切って立ち現れたのだ。有限な、今日ではないすぐそこ辺りに感じられる。

 楽観がない訳ではない。医師は造影剤CTで気道付近以外の異常を指摘しなかった。そこだけに止まり、放射線治療が有効なら望みがある。その治療法を探るためのPETである。また、医師は放射線治療は毎日一月以上ともいっていた。緩和のためではない。完治を目した治療である。

 そのような素人の憶測を行ったり来たりしている。おそらくは眠っている間にも考えていて、ぬぐい去りがたい悲観論が浮上すると、おののいて目を覚ますのだろう。なにしろ、食道がんは再発したら緩和治療が基本なのである。自分が例外的な幸運者でなどあるとは思えない。

 そうなると、来年の桜は観られない。ジョビちゃんの姿もあと少し、雪が舞うのも今朝のが最後だったのかもしれない。すべてが一期一会なのだ。ああ、スーパーで一箱のイチゴ498円を高いなどと臆せずに買っておくべきだったのかもしれない。