【東日本】

 風が冷たいながら、木の芽の膨らみが大きくなる今日この頃である。

 昨日は、雪による交通の混乱にびくびくしながら上京した。幸い、といっては顰蹙をかうだろうが、豪雪は北陸から西に生じている事態のようであった。東日本の太平洋側はからりと晴れ上がり、積雪もなく、順調な移動ができた。そのため、東京往復ながら、10時間ほどの外出に過ぎなかった。

【傾いて寿ぐ】

 目的は歌舞伎である。新春はやはり歌舞伎を観なくては、である。相撲もいいがチケットがね、なのでハナからその気が失せている。

 昼の部にしたのは、夜が「女殺し」だからということがある。何で新年早々に陰惨な物語なのだろうか。幸四郎の意図が理解できない。その点において昼は、「當午歳」に官九郎、七之助の舞踊漫才まである。「実盛」など荒唐無稽の極みだが、能天気に華やかで、いかにも午年の新春にふさわしいではないか。

【最右翼の右近】

 中堅、若手主体の演目で、元気いっぱいなのだが、巳之助が、「草摺」で熱演していた。最後に決めたところで、足の親指が反りかえっているのに気がついた。あれが型なのだろうが、ワヤンを思わせる、わ印の女の「イキ反り」の親指である。かの「国宝」といえども、そのような細部にはこだわっていない。芸能の神は細部に宿っているのである。

 また、「梓弓」で右近が8変化の大活躍である。三味線、長唄の技量を活かした構成になっている。あれはもう、右近にしかできない。関西を含めて希有である。歌舞伎の国際化を図る際に、欠かせない人材なのではないだろうか。国友のようにブルースをやってほしい、と真に願う。今後に大いに期待である。

【止せばいいのに】

 銀座は、スーツケースをがらがらさせる大陸系こそ減ったものの、相変わらず外国語が横溢していた。安くなってしまった日本で安らぐためには、彼らの入り込まない穴場を発見、開拓するしかない。歌舞伎は今のところ、相撲ほどには入り込まれていないが、どうなるかわからない。最後の砦は寄席、ということになるのだろうか。インバウンドなんて止したらよかったのにね。