【森の力】
たらの木の実に鳥がやって来る。オナガや鳩などである。漆やハゼに似た房状の実なのだが、鳥には美味なのだろう。コシアブラとともに、引きも切らないという感じである。かくして、種は鳥の体内を経て近隣一帯にばらまかれることになる。人がいなければ、たちまちのうちに落葉樹林帯の形成である。その風景をちょっと見てみたい気もする。
【金の爆騰】
さて、金の1グラム売値が1万9千円を超えた。4月に1万7千円となって驚いたが、9月1日に1万8千円を超えたばかりである。円安だけでは説明できない。
新聞には毎日のように古物買い取りのチラシが入ってくる。商売繁盛である。この現象は二つの事態を示している。
【タケノコの切り売り】
一つは、日本人がタケノコ生活に戻ったということである。昔の男からもらったネックレスを現金に替えて子供たちをデズニーに連れていく。親が残した金の仏具を質に入れて塾代を賄う。値上がりで縁遠くなった外食を久しぶりに満喫する。夫婦の稼ぎだけでは不可能な消費を、かつて手に入れた物を手放すことで賄うのだ。
【基軸通貨体制の崩壊】
もう一つは、ドルを機軸とする通貨体制が崩壊しかけているということである。IMFもIBRDもすでに機能を停止している。各国の通貨そのものの失墜なのだ。ドルだけではない。円もユーロも元も、社会システムとしての中央銀行券が信用できなくなった。とりあえずの決済、流通の集団としては仕方なく使うが、価値貯蔵、支払いの手段としては最小限にとどめおく。その代わりに金なのだ。先の見える国は、金保有高こそ真の対外資産だと見極め、せっせと買い集める。日本人が目の前の消費のために手放した金はおそらく、幻想と無縁な中国あたりに流れていくのだろう。
【船底の栓を抜くような】
トランプは、世界経済を崩壊させる最後の杭を打ち込もうとしている。いや、全然のための栓を引き抜こうとしている。先人が資本主義システムを維持するために、営々と打ち込んできた安全ピンなのだが、ワシには理解できないからと次々と抜く。やがて世界経済はあの貿易センタービルのように爆炎を巻き上げて倒壊するだろう。そのがれきの中において価値があるのは、高級自動車でも紙幣でも、レアアースでもない。金である。銀である。人間は、それらが珍重されていた18世紀の時代まで後退する。
1万円で変える金は0.5グラムとケシ粒ほどである。もう金は変えないから、プラチナでも買っておこう、などという動きがすでに出始めているの。荒涼たる原生の世界である。