【寒い彼岸前】
もうすぐ彼岸だというのに雪である。気温の高低以前に、視覚的に寒い。
ただし、宮沢トシいうところの「雨雪」である。列島南岸に停滞する前線の仕業であり、積もることはない。数日はこんな気候が続く模様だ。
【金の暴騰】
さて、Newsweekが「金価格が歴史的な水準にまで膨張している」と報じている。ニューヨーク市場で、至上初めてを1オンス=3,000ドル突破したのだそうである。
原因は次のように整理されている。
「独立系金属トレーダー、タイ・ウォン氏は、3,000ドルの節目突破について、トランプ大統領による株式市場の混乱を背景に、投資家たちが究極の安全資産とされる金に資金を逃避させたためだと述べた。‥関税発動を巡る懸念や株式市場の売りなどにより、金は年初来で約14%上昇している。」
【トランプが加速させる】
トランプの引き起こした経済惑乱のせいだというのである。この惑乱は米ドルそのものに向けられており、「中国人民銀行(中央銀行)は4カ月連続で金を購入し」、金準備が1月末の7,345万オンスから2月末時点には7,361万トロイオンスに増加した。米国債=ドルからの逃避先としての金なのである。さすがマル経の投がれを組む社会主義市場経済のふるまいではある。
【円高の恩恵】
ところが、日本の金価格は低下傾向にある。田中貴金属の金地金店頭小売価格は1グラム=15,684円であり、1万6千円を超えようかという一月前の勢いはない。当方の積立金も10万円単位で下落している。
しかしこれは円高がもたらした現象である。原油価格も同様の傾向を示しているが、金価格を円換算するときに数値が小さく現れているだけのことである。その背後で、金は着々と値上がりを続けているのである。
【原始的だからこそ確実な価値感覚】
振り返れば、ブレトンウッズ体制下の金価格は1オンス=35ドルであった。54年間でドルは、およそ85分の1に減価したというわけである。ところがトランプは「強いドル」を目指すどころか、デジタル通貨にまで色目を使い、ドルの価値毀損を一層加速させようとしている。トランプ一家に転がり込むカネがとりあえず増えさえすれば、米国シニョリズム特権が失われようと、世界の通貨体制がどうなろうと知ったことではない、ということなのだろう。米国経済、米国社会はそこまで私物化された。
理念と無縁な人間は、目に見える、手で触れられる、すなわち物質的存在である金に価値を見出す。そのような精神作用は21世紀の今もまだ有効なようである。