【侘しい冬至】
冬至である。ということでカボチャを炊きユズ湯に入らねばならない。
今年はカボチャはまあまあだったのだが、ユズは5個しか実らなかった。一つはすでに食材に利用したので、残るは僅かに4個である。というわけで、3家に分けるために1個を残して収穫した。1家あたり1個である。なんとも貧しい冬至である。
【山川草木悉皆成仏】
さて、ユズの樹の回りのクモの巣に、一匹のジョロウグモがぶら下がっていた。まるで、自分の巣に間違って引っかかり事故死してしまったかのような姿勢なのだが、実際には凍死であろう。昨夜は零度前後にまで冷え込んだのだ。そういえば、周囲のクモの巣はどれも主を失っている。
クモの関心の大半は、3快(快食、快便、快眠)の充足と異性獲得である。そのために、数多の殺生に邁進し、吐く糸の品質にこだわり、風に逆らってきた。極めて恣意的な、自己本位の営みである。そのように、生存競争ををくぐり抜けてきた。
また、そのようにして宇宙に形成される法の一部となった。クモの巣の範囲の空間ではあるが、自律的に移動することで、物理法則が貫徹する宇宙において他律に縛られない力を作用させた。
【誰も知らない】
それはかのナベツネとて同じことで、地表空間を右往左往したあげくに活動を停止した。死因は肺炎とあるが老衰が実際である。彼もまた、一匹のクモと同じくらいには宇宙の法に参加した。そしてある朝、蜘蛛の巣に引っ掛かるようにして消滅したのである。
彼の存在と活動が、この宇宙の終末に吉と作用するか凶となるかは、誰も知ることができない。吉となることを祈るばかりである。