【ホットな東京】

 さて、久しぶりの東京である。

 まず、暑い。東京に降り立った途端にむっと来た。ほとんど東南アジアである。耳にはいる言語が中国語が大半だから尚更である。そんなホットな東京を腰痛を気にしつつ歩いた。 

【飯田橋の新札】

 最初の目的地である飯田橋は、そこにある日本一の規模の職安にかつて通ったことがある懐かしの地である。ただし記憶は全くない。仕事先の言によると、最近ホテルが次々と開業してうるさくなったとのことである。すごいのができてるという印象がないので、小規模ホテルなのかもしれない。東京ドームや遊園地にやって来る外人向けのチープなホテルなのだろう。

 そこで、渋沢1万円札を入手した。地元では見たことがない。さすがに江戸である。新札発行とともに時をおかずに流通である。

【並木通りからのお土産】

 次に土産の確保である。お上りさんらしく、東京ばな奈やヒヨコもいいのだが、最近は空也の最中である。で10日ほど前に電話予約をしておいた。そうでないと手に入らない。

 タグホイヤーとシャネルの間にある古い木造の店に、その予約の箱が山積みにされていた。店構えといい、現金販売といい、レトロの極みの商売なのだが、生産は柔軟なようだ。注文を受けその範囲で可能な限り作るのだろう。いや、それこそが実はレトロの本領なのかもしれない。働くのは生活のためであり、無理な背伸びはしない。その商売手法が行き着くと、どこかのように一見さんお断りになるのかもしれないのだが、そうならないことを祈るばかりである。異邦人の姿がないので当分は大丈夫だとは思うのだが。

 レジ横の『銀座100点』を一冊もらう。銀座の文化を支えているのはこういうお店である。

【連呼する蓮舫】

 最後に歌舞伎である。その移動の途中に、選挙カーが通った。蓮舫である。実は、都知事選がどうなっているのかに興味があったのだが、ポスター掲示板にはお目にかからなかった。東京都選管は投票率なんか上がらなくてもいいとしているのか、デジタルで間に合うと決め込んでいるのか、どこにも見当たらない。あのばかげた有様を是非とも写真に撮っておきたかったのだが。

 そこに『本人です。助手席に乗っています」と連呼する蓮舫である。手を振る人は2割程度だろうか。なかなか人気があるというべきか、その程度とするべきか、評価は不明である。何となく手を振ったのだが、視線が合うことはなく通り過ぎていった。もっとも、都民ではないので、どうでもいい存在なのではあるが。そういえば、手を振っている人達の中にどれほど有権者が居るのかは不確かである。大半が中国人だったのかもしれない。だとすると、ちょっと危うい。

【】

 さて、歌舞伎である。昼公演は団十郎の13役早変わりとのことで、ちょっと観て見たかった気がしたが、夜の部の幸四郎も良かった。

 物語自体はいい加減の極みなのだが、三番筝に続く最後の舞踊が良かった。床板を踏みならし、ほとんどタップなのである。幸四郎や松也だからできる。若さである。その前の雀右衛門や中車などにはもう不可能な、身体を躍動させるばかばかしい楽しさである。

 配役に名を出していた白鸚は座ったままの演技だった。ちょっと前まで勧進帳の弁慶をやっていたになあと、少し寂しい。そういえば先の菊五郎もそうだった。座ったままの神様のような役というの同じである。きっと彼らも、腰痛持ちなのかもしれない。