【雨上がる】

 一転して晴天である。昨日の雨は何かの間違いのような、今日の夏の陽射しである。猫なんか外に出る気配もない。

 そこで、梅を収穫した。熟し、ぽろぽろと落ち始めているのだ。今年は全国的に不作とのことだが、我が家も同様である。昨年の2~3割というところで、1年分の梅干しを作れるかどうか心許ない量である。虫に吸われて、少しいたみかけたのまで捨てないで漬け込む。もう、品質は二の次である。

【ナンバーワンからのお説教】

 さて、今日の朝日新聞に、「Dデー80周年に思う…」というNYタイムズ6月4日付電子版の 抄訳が載っている。筆者はブレット・スティーブンスである。篭球のブラッド・スティーブンスではない。

 その主張は以下のようである。

 

 現在の欧州には反省すべき点がある。

 第一に経済の低迷、第二に軍事力の衰退、第三にキリスト教徒の減少そして第四にやる気のなさである。世界に、旗幟鮮明にしないものの「居場所」はない。

 具体的には、社会保障を削減し、軍備を拡大して、一旦緩急あらば不惜身命に行動する。そうすることで自由を守らなければならない。

 アメリカは経済的に充実し、軍備を拡大させ、イスラム勢力に隙を与えず、自由主義原理を貫徹している。少しは見習ったらどうだ。

【慮外の沙汰】

 筆者はウオルストリートのコラムニストらしい。これがアメリカの知識人の平均像なのだろう。

 日本は欧州以上に衰退しているが、その原因のひとつに、80年代以降の日本潰しがあったことなど記憶にない。あの時、マイル表示の米国産自動車を売りたいために、左側走行を非関税障壁だと非難した。日本の自由を否定するそのような過去など、全くなかったかのようである。というか、日本など慮外の国であり、関心は欧州なのである。

 その欧州にしても、主権を踏みにじる軍事行動、無知な原理主義、独りよがりな使命感が、どれだけ混乱させたか、混乱の原因となってきたかなども眼中にない。彼らの論ずる自由など、その程度なのである。

 さすがに欧州は、このようなアメリカの傲慢をすでに理解しており、聞き流す術を身に付けている。またいってらあ、でスルーする。しかし日本は異る。お説拝聴とありがたがり、社会保障を縮小し軍備を拡大し、自由のために命を投げ出す仕組みを作り出そうとしかねない。朝日新聞はそのための露払いを喜んで務める。ついていけない日本国民がどれほど居ようと、その居場所を失おうと関知することはない。それが彼らの「居場所」なのである。

【アメリカ人の知性】

 アメリカといえば、プラグマティズムである。元をたどれば功利主義、そして経験論である。しかしこの論説に、そのような思想の痕跡はどこにも感じられない。浅はかな単純枚挙の帰納法があるのみである。しかも都合の悪いエビデンスはなかったことにされている。まともな論理性を持たないのである。

 もっとも、日本人にそれを批判する資格があるわけではない。強いものになびく、その嗅覚だけで世渡りをする。そういう点ではもっと情けない、しかも懲りない連中なのである。

【足りない自由が命取り】

 ということで今、猫たちが巣立ち直後のヒヨドリの雛を捕まえて、よってたかって虐待に及んでいた。家人が保護し、離れたところで放したのだが、逃げ込んだ薮に親兄弟が寄ってきて慰めていたという。家族の情愛、社会保障による保護で精神がたるんでいるから襲われたりするのである。自由の心構えが足りないからそうなるのである。鳥の世界も軟弱な連中が増えている。実に困ったものである。