【ポテトグリーン】

 昨日の伊達は32度を超えたという。真夏の気温である。今年もこの調子で暑い夏となるのだろうが、一次産業への影響を懸念せざるをえない。ただし、恩恵がないわけではない。

 トロ箱でサツマ芋の苗採集を目論んでいたのだが、まんまと発芽した。順調に生育すれば苗代を節約できる。ホームセンターでは、4本400円超などという恐ろしい値段がついているのだ。うまくいけば芋だけでなく、茎と葉で「ポテトグリーン」を作ってみるつもりだ。サツマ芋の葉をクズ肉とトウガラシで煮込んだ「葉っぱ飯」だ。(木村聡『満腹の惑星』)アフリカ難民の常食らしいが、貧しくなる一方の日本人の未来食として有用かもしれない。

【外国でも饒舌、しかも本音】

 さて、日本がどうして貧しくなったかについて岸田がもらしている。Newsweekインタビューにおいてである。

 “近年の停滞で、日本は経済規模でドイツに追い抜かれ、1960年代以降で初めて世界トップ3の座から転落した。これは短期的な問題だろうか”という質問に対して、為替レートや物価上昇の差を指摘した後、次のように答えている。

 “だが長い目で見ると、日本では過去30年にわたって「コスト削減型」の経済が続き、投資も賃金も減る一方だった。そういう「縮み志向」の経済だったから、このように停滞が長引いている。”

 外国人相手に思わず本音を漏らしてしまったのかもしれないが、実は解っているじゃないか、という発言である。岸田のいう「新しい資本主義」とは「縮み志向」の転換を目指すものなのかもしれない。

【日本をダメにする「選択と集中」に邁進した経営者たち】

 問題は、どうして「コスト削減型」の「投資も賃金も減る一方」のおばかな経済になってしまったかだ。

 伊丹敬之は『漂流する日本企業』で、株主重視のアメリカ型経営の模倣を指摘している。2001年以降、大企業は設備投資や人材投資よりも配当を重視するようになった。賃金は縮んだが配当は増大しているのである。その中心人物として出井伸之をあげ、指弾している。いわずと知れた、ソニーを駄目にしたあの人物である。

 かくして配当は増え、株価は上がり、大企業経営陣は肥え太ったが、日本は長期停滞に陥った。結婚できなくなり、子どもを持てなくなり、人口減少はとどまるところを知らない。天声人語が、最近は鯉幟を見ることが少なくなったとぼやいていたが、経済停滞は民族の活力、文化をも奪った。日本はそのように「選択と集中」を行なった。

【明日に備えて】

 伊丹はマクロ経済17年周期を指摘している。そのうえで、中小企業に受け継がれてきた人を重視する経営による市場開拓を提唱している。2025年はリーマンショックから17年目で、経済大変動の年なのである。それが、世界恐慌ではなく、日本の歳飛躍となることを祈るばかりである。ただし、証券投資は今年中に手じまいしておいた方が良さそうである。ポテトグリーンの作り方のマスターも必須である。。