【翼ある虎】

 朝ドラを見ているのだが、今日の放送は憲法記念日にふさわしい内容であった。

 次席判事に対しての寅子の次の(ような科白)である。

 「法律とは、盾か矛のように考えていたが、判決を聞いて改めた。泉のようなものである。」

 懇々と正義を貫く論理を湧き出させる泉、ということである。斬新、かつ達見である。

【不道徳な人々】

 現実社会では、法律を他者を支配する道具のように考えて、泉を引っかき回す愚者が大きな顔をする。容赦なく矛を振り回し、恥知らずであるがゆえに支配者面をしていられる。しかし、権力や財力にとらわれる生き方は蛆虫の生き方でしかない

 戦前の共和精糖事件だけの話ではない。同様のでっち上げは大河原化工事件のように今も続いているし、閣議決定で立憲主義を歪める政治家が傑物のように語られる。大半の人がそれを当然のように是認する。

【よく生きる】

 ところが寅子は、そのような傾向に敢然と異議を唱える。正義をあふれ出させることで泉の清浄を守ろうと決意する。誰のためでもない。「よく生きたい」からである。

 このようなドラマを、大方が無関心を装う憲法記念日に放送する製作陣に敬意である。