【一平の失敗】

 朝7時のラジオニューストップはなんと水原事件である。ロスの裁判所に出頭し、直ちに保釈されたという。

 当初450万ドルとされた窃取額はあっという間に1600万ドルになり、原因となった賭博の損失額は3800万ドルに上っていたとされる。さらには違法胴元への借金がどういう計算か4000万ドルを超えるという。大谷のおよそ24億円の損害と、一平君の身の破滅は確定である。

【植木等は馬で金儲けした奴ないよと歌った】

 身の回りには、たまにパチンコ狂を見かける程度で、博打狂いを見ることはない。したがって、博打で身を持ち崩したという人も知らないし、儲けた金で家を建てたという御仁も見たことがない。したがって、ニュース等からの判断でしかないのだが、賭事で儲けるのは胴元ばかりで、客は損するような仕組となっている。これほど市井の人を不幸にする営為はない。それでもやるという奴はバカである。バカが「もうおしまい」になるのは仕方がない。止めようがないし、止める意味もない。廻りの人を巻き込まないでほしい、大谷のホームランを減らさないでくれ、と願うのみである。

【納得しながら破滅する】

 わかっちゃいるけど止められないのが、博打なのだろう。だから原則禁止とするのが近代社会なのだが、なんだかんだと他人の懐から金をむしり取ろうとする極道があとを絶たない。アメリカで解禁州が拡大するのを見ると、アメリカではやっているのだから日本でも、といい出す。目先に政治献金をぶら下げられると、国民の幸福なんかどうでもいい政治家がお墨付きを与える。統合型リゾートとかのきれいな言葉で法を作り、税を投じる。賭場の開帳を十手持ちが準備するようなものである。

【沈みいく難波】

 その極め付きが大阪で、どうしようもない荒れ地で万博という祭りを開いて地ならしし、祭りの後には博打場にしようというのである。投じられる血税は10兆円近くにのぼる。直接的な会場設営だけでなく、インフラ整備までを合算した整備費である。10兆円かけて賭場を造り、胴元がぬれ手に粟、国民が不幸となる施設を造ろうというのである。めでたく御開帳の暁には、夢洲からミニ水原がウヨウヨと這い出すことになる。

【メタンガスにお願い】

 大阪市民は止める気がない。ええやん、良いこともあれば悪いこともある、それが人生っちゅうもんや、とわかったような口をきいて終わりである。政府や国会はもちろん止める気などさらさらない。むしろ率先してお先房を担ぐ。新聞やテレビには自分の出世を棒に振ってまで突っ込みを入れる勇気がない。ということで、阿呆を止める誰もいないので阿呆がどんどん進められ、日本は底なしに阿呆な国なっていく。残るは、夢洲の奥底で生成されているメタンガスが再び目覚め、地上のガラクタに天罰を下してくれるのを祈るだけである。一平君に神はいなかったのだけれど、そうなったら日本に神の存在を認めてもいい。もう、そんな気分である。