【リスク回避の愚策】

 今日の朝日新聞に「13年の日銀政策決定会合」に関する記事がある。黒田総裁以下の日銀理事たちが、2014年似予定されていた増税の延期の動きを「大きなリスクファクター」 として「予定通りの実行求め」たというものである。

 その結果がどうなったかは明らかである。消費が低迷し、掲げたプラカードの「2%インフレ」は未達である。

【お馬鹿さんたち】

 記事の中で、おばかな処方箋に執着して、日本経済を殺してしまったのは以下のようなお人たちである。

 黒田東彦総裁も増税(財務省出身)

 岩田規久男副総裁(イェール大教授)

 中曽宏副総裁(日銀出身)

 白井さゆり審議委員(慶応大教授)

 山岡浩巳(日銀金融市場局長)

【黒い岩という災難】

 黒田、岩田コンビは「財政政策」と「金融政策」で対応するので増税の「景気下押しリスク」は軽減はできるとしていた。

 岩田はのちに「教科書に効果がないとは書いていなかった」と弁解したが、金融緩和をすると景気が良くなるということなどまともな経済学者は誰もいっていない。伊東光晴氏らによる指摘も相次いでいた。岩田がそのように誤読しただけである。

 増税論者の執着の大元は、財政再建が遠のくことで国債が売られ、金利が上昇することにあったようだ。それは企業の利益圧迫要因ともなる。山岡がいった「大きなリスクファクター」とはそれをさす。次のような構図である。

{増税延期→財政再建停滞→国債金利上昇→2%インフレ未達} 日銀がのまされた2%インフレの交換条件として政府がした財政健全化の約束を守れという、役所の対抗心もあったらしい。

「いずれにしても」、その後に起ったのは野放図な財政ファイナンスと、その当然の帰結としての財政不健全化の昂進だった。金利まで、日銀が望まないのに勝手にあがり始めた。次のような事態である。

{増税実施→消費停滞→2%インフレ未達→財政ファイナンスで財政不健全化昂進→国債金利上昇}

 悪手によって、日本経済が詰みかねない危機を招いた。どうしようもない専門家たちである。

【反省しない猿のような】

 恥を知らない連中は、当然に反省しない。責任転嫁が常道である。岩田は教科書のせいにしたが、門間一夫(日銀理事)は「消費税を上げようが上げまいが、日本経済は恒常的に消費が弱い状況にあったのではないか」といい、日本経済はもともと駄目だったんだと開き直る。木内登英(審議委員)は、増税は決定的な影響は与えなかった「2%物価目標という日本の実力に合わない目標を掲げたことが問題だった」という。つまり、深刻な病人が治癒しようなどと考えたのがそもそもの問題だった、医者の俺が悪いわけではない、といっているようなものである。日本では、こんなやぶが専門家の顔をしてのさばっている。駄目だこりゃ、とつくづく思う今日この頃である。