【8万円の振り込み】

 先日、通帳記帳をしたら東電相談室名義のの振り込みが確認できた。311事故の追加賠償金8万円である。前に受け取った分と合わせて総額20万円になる。東電ってなんて誠実な企業なんだろう、と感心してしまう人もいるだろうだが、実態は異なる。

 第一、被害が20万円で収まるのかどうか不明である。本当はひとけた異なるのかもしれない。甲状腺がんを発症した人たちの被害はふたけたでも足りないかもしれない。しかし東電は、事故と発病の因果関係を否定し、彼らに特別な賠償を行うつもりはない。

 東電の不誠実な体質は変わらない。今日の朝日新聞福島版に「汚染廃液問題」という記事がある。次のようなものである。

【ALPS廃液を作業員が浴びる】

 ALPSは事故原子炉を経由して流れてきた汚染水から放射性物質を除去する設備である。そのように処理された元汚染水が「安全」だとして太平洋に流される。しかし、処理前は紛れもなくデブリに触れた放射性物質たっぷりの汚染水である。

 その「配管」の洗浄作業中に、タンクから仮説のホースが飛び出して作業員5人に汚染水が降りかかった。洗浄作業で発生したガスの圧力で「タンクからホースが飛び出し」たのだそうである。配管の作業中にどうしてタンクからホースが飛び出し、そのホースから中に溜まっていた廃液が噴出するのかの詳細は不明である。というか不思議である。

【東電の嘘】

 それはともかく、この「事実」に関して東電の説明は変転した。

(1)噴出した廃液は当初100mlとしていたが、現段階では数リットルになった。

(2)廃液を浴びた作業員のうち2人はカッパを未着用だったため体表が汚染され入院となった。この2人に関し当初は1次下請け作業員としていたが、現段階では3次下請け作業員としている。

(3)監督する班長が病欠で、代理すべき2次下請け監督者も別の作業現場にいた。つまり、誰も監督していなかったことが、当初は報道されていない。

 現段階ではとしたのは、今後さらに異なる説明が行われるかもしれないからである。「入院した作業員2人は今のところ体調面に問題はなく、汚染した皮膚にも異常はない」という説明も同様で、今後どうなるかは不明である。

【廃炉という幻想が無駄でいい加減な作業継続の動因である】

 カッパ着用の3人の健康被害の可能性には誰も言及していない。カッパとは、処理前の汚染水を浴びても万全の防御を約束する代物なのだろうか。ちょっと疑わしいが、もしそうだとすると、義務付けられているカッパを未着用のまま作業させた罪はとんでもなく重い。完全な防御が可能なのに、最悪の汚染に追い込んでしまっているのだ。

 東電は「正しい情報収集ができていなかった。お詫びして訂正し、原因と対策を確認したい」と言っているそうである。事故前からこれまで、何度このようなセリフを聞かされてきたことか。根源的問題は情報収集ではなく被曝事故を発生させる現場管理の失敗と、その後の抜き難い矮小化、歪曲化の体質にこそある。その挙句のフクイチ爆発だったのであり、放射性物質雲の東日本拡散なのである。これから先も同じセリフを聞くことになるのだろう。「原因」とはそのような東電の体質であり、「対策」とは解体しかないのではないだろうか。東芝が解体されたのに、東電が解体されないというのが不思議でならない。

 解体したら廃炉は誰がやるんだ、という声が聞こえてきそうだが、その問いには「廃炉なんてできるのか」と答えておきたい。原子炉に触れずに石棺化するなら、何も電気専門家でなくとも良い。ここでも、廃炉の幻想に支えられて愚行が続けられているような気がしてならない。