【お見事な大往生】
エリザベス2世が逝去した。トラス首相任命の際の写真で、縮んじゃったなあ、それでも元気そうだなあとの感を抱いたのだが、いきなりである。逝去時には、イギリスの空に鮮明な虹が架かったという。
不思議なのはその「亡くなったこと」に関する表現の不統一性である。新聞は「訃報」のほかに、「死去」、「逝去」などだが、陛下の弔電では「崩御」となっている。天皇に準じているのである。
【彼我の格差】
英国の国葬は18日か19日の予定だそうである。27日の安倍元首相国葬に先んじることになる。この予期せぬ展開で、次の二点が明らかになるだろう。
ひとつは、安倍の国葬とは、安倍を国王と同列に評価するためだった、ということである。何たる不遜だろうか。任期8年8ヶ月を強調して、70年勤めた国王と同列に扱うというのである。天皇に準ずるのが狙いであるなら、もはや不敬の域を超える。
もう一点は、であるにしても安倍の国葬の軽さよ、である。弔問予定に元首級は少ない。アメリカは副大統領で決まりである。対してエリザベスには大統領、天皇が出席する。同じ国葬でも中身が全く異るのである。日本のなんかほとんど「なんちゃって国葬」でしかない。それが世界に示される。安倍にとってはむしろ恥辱なのではないだろうか。
【国葬の根拠】
エリザベスが国葬となるのは元首だからである。当然であり、異議は少ない。対して、安倍の国葬には異論が絶えない。
岸田首相は、9月8日の衆参両院の議院運営委員会で、国葬とする根拠を次のように示した。(東洋経済/星 浩 : 2022/09/09)
①8年8カ月という憲政史上最長の首相在任期間
②外交・安全保障政策に対する海外からの高い評価
③東日本大震災からの復興を進めた
④国政選挙中の非業の死を受けて暴力に屈せず民主主義を守る決意を表す
岸田、いや背後で作文をしている官僚は、これで国民が納得すると考えているのだろう。しかし虚構に満ちている。
【虚勢のための虚構の強行】
外交は行き詰まっているし、復興は進んでいない。北方領土におけるロシア軍演習や、浪江の帰還状況はどのような詭弁を弄しても評価できるわけがない。経済に関しては、円安の急進を前に、はいくら面の皮が厚くともアベノミクスの成功などとは言えなかったのだろう。完黙である。
要するになんの成果もない、平均賃金で中退に遅れを取るなど、日本の劣化を推し進めた。ただ任期が長いだけの首相だったのである。その結果としての劣化が進み、失敗を成功といいくるめ、その強弁のために国葬を強行する無法国家となってしまった。そのあげくに、エリザベスにその虚勢をあばかれるのである。実に、実に醜怪である。