【アムネスティのウクライナ軍批判】

 あの佐藤優が、8月27日号東洋経済「知の技法」で、ウクライナ軍の非法について論じている。

 8月4日、アムネスティが「ウクライナ軍が民間施設を使用することで民間人を危険に晒している」と、国際人道法違反を報告した、というのだ。ただし、ゼレンスキーの抗議後に、侵略されているウクライナの立場を考えなかったとして「深い遺憾の意」を表明した。事実上の撤回である。

【甘い甘いインテリジェンス】

 佐藤はこの情報を、ロシア政府御用達のWeb「スプートニク」で入手したらしい。ロシアとしては都合の良いニュースだったわけである。そのような情報を基に、ウクライナ軍が民間居住地のすぐ近くに居たという事実は疑いようが無く、「人間の盾」戦術を採っているとの認識を披瀝する。つまり、ウクライナで民間人の被害が生じている責任の一端、いや大部分はウクライナ軍が負うべきだ、といいたいのだろう。したがって、ロシアへの批判は抑制するべきだ。

【日本が攻撃された場合の戦い方】

 それでは佐藤に聞いておきたいのだが、北朝鮮が日本を攻撃し、上陸してきた場合、学校や病院を活用するなど絶対になく、冬でもテント設営で凌ぐ。自衛隊は民間居住地から離れて陣地を設営し、誰もいない空き地を戦闘箇所として選択する。そのように闘うことでアムネスティに褒められるようにするべきだ、ということになるのだろうか。

 佐藤は、アムネスティに褒められるような戦い方をすれば、民間人は通常の日常生活を満喫することができ、その死傷は皆無となる、と保証してくれるのだろうか。ウクライナのようにミサイルが飛んできることもなく、肉体の突起物を次々と切断するような残虐行為もなく、民家にミサイルが飛んできて燃え上がるようなこともなくなる、というのだろうか。

【第一原因は何かを考えない知的麻痺】

 良く考えてほしい。今のウクライナの状況はどうして生じたのだろうか。どんな口実を掲げているにせよ、ロシア軍の侵攻にあることは間違いない。民間居住地だろうが戦場だろうが、そこで非人間的状況が作り出された第一の原因はロシアにある。彼らが外国の領土から撤退すれば、問題の大半は速やかに解消される。

 ウクライナ軍だって民間居住地などで闘いたくはないだろう。しかし、どこを戦場とするかを決定するのは侵略する側である。ところかまわず攻めてくる敵に対する反撃拠点に選択の余地などない。できれば自国などではなくロシア領域、モスクワあたりで闘いたい。しかし、それが許されないのが侵略されるということなのだ。

【日本列島の思わぬ虎口】

 逆にいうなら、侵略の拠点は相手国の攻撃し難いところに設営すべきだ、ということになる。原発など最適地である。ヘタに攻撃すると国全体に汚染が広がるので、まず攻めてこない。こんな便利で安全なところはない。

 ザポリージャ原発における展開をみて金王朝はおそらく、日本侵攻の拠点は泊、柏崎、敦賀、島根のいずれかと思い定めたに違いない。その時に佐藤は、民間人に被害を及ぼしかねない原発への軍事作戦などとんでもないとの論陣を張るに違いない。敗北、討ち死には必至だね。