【小中学生の学力】

 今年5月27日実施の全国学力・学力状況調査の分析結果が公表された。調査対象は小学6年生と中学3年生、科目は国語、算数である。マスコミの関心は、コロナ一斉休校の影響の方にあるようで、学力分析などそっちのけである。(朝日新聞)

 それによると、結論は「休校期間の長さと正答率に相関関係は見られなかった」という。つまり、学校など行っても行かなくても学力に関係はない、ということである。

 文科省は大慌てで、「学校があらゆる手を打って学習のフォローにあたったことも要因にあるのでは」と「解釈」するが、根拠は乏しい。あくまでもあて推量である。子供らは、疑問点については自分で(6割)、あるいは家族(8割)に聞いて対応している。(調査概要)

【学力は塾でつける】

 この分析結果は、学力の養成が、家族、塾などの学校の外部に依存する、つまり外部化されていることを表している。学校は子供たちにとって、もはや「勉強をするところ」ではないのだ。それでは何なのかというと、遊ぶところ、集団生活を体験するところとなっている。

 だから、補修などの休校の代替措置に熱心な学校ほど、楽しくないところになってしまっている。楽しいといっているのは中3で43.4%しかなく、小6で初めて5割を切った。学力補充など必要ない、おしゃべりやふざけあいを縮小させる余計なお世話、なのだ。これは、ICTにもいえる。そんな付け焼き刃で粗雑な対応でやったつもりになるなど、大きな勘違いである。

 問題は二つある。

【特異な世代】

 ひとつは、「学校行事が中止され授業でも体験が不足したことで、後年になって理解や思考力などで困難が現れる可能性がある」という石井英真・京都大准教授の指摘である。(朝日新聞)休校や学校における行動の規制は、今や学校の最大の効用となった集団生活を阻害した。この世代の社会性に大きな影響を及ぼさずにはおかない。ただでさえネット空間に閉じこもり、自閉的で内向的な傾向を強めている世代なのだ。集団的に、どのような価値観を形成するのか想像もつかない。

【格差の影響】

 もうひとつは、学力格差である。文科省はやるつもりはないだろうが、学校外の外部機関を利用する財力があるかどうかで基礎学力に差が生じる。その底辺層が、労働者の待遇が悪化する中で拡大している。すそ野の脆弱化は、トップに結晶する科学力、技術力を先細りにさせる。それが現実である。明治以来の、公教育普及による国力増進という構造はすでに破壊された。米百俵を謳いながら破壊したのだ。

【対策はというと】

 対策は、労働者の待遇改善か公教育の重視しかない。つまり、企業の儲けを減らして労働者に分配するか、税金の多くを教育に向けるかである。もちろん、双方を同時にやるのが望ましいが、政財官の目先の金には結びつかない。なにもやらずに衰退の道を辿り続けるというのが現実だろう。実際、憲法53条違反のまま大騒ぎしている総裁選とやらでも、教育をどうするかはほとんど語られるていないのである。