夏である。花が咲き、コバエが飛び交い、ゴキブリがはい回る。不快な微音で蚊が忍び寄る。昆虫が、その生命力を遠慮なく横溢させる季節なのである。
対策としては化学力にたよるしかない。噴霧式や固形の殺虫剤を要所、要所に使用する。クローゼットの洋服のポケットには、虫食い防止の防虫剤を使用した。内ポケット2箇所とそとポケット2箇所に1個だから、一箱近くも消費した。洋服はこの時季にやられるのである。
しかし、手をつくしたつもりでも限界がある。プランターのトマトが枯れ始めたので「専門家の意見」を求めたところ、ダニとの診断である。目に見えないほどのダニが寄生するとたちまち枯れてしまうのだそうだ。ダニごときに敗けるのは悔しいと、防御策を講じようとすると、やはり化学物質、農薬という名の商品が必要となる。
農薬はできるだけ使いたくない。キウイの花をクマンバチがめぐっていたがが、その無償のはたらきのおかげで受粉の手間が省ける。昨年は果物が総じて不作で、特に桃は凶作に近かったという。様々な悪条件が重なったようなのだが、中でも虫の活動不足が大きかったという見解がある。万能農薬とされるネオニコの影響かもしれない。虫たちは、人間の金儲けのために都合よく死に、同時に効率良く働いてくれる訳ではないのだ。ビールスも同様である。
本音では、ジベレリンでさえ、使いたくない。伸ばし放題の蔓のブドウだから、花房は高所の葉影に隠れている。コップの薬液を付けようとするとどうしても体に降りかかる。農薬を全身に浴びるのである。その薬効で、もう完全に「種無し」になってしまっているに違いない。
まあ、その程度の知識で薬品、化学力を活用しているのである。その上に、SNSで発言し、妄言を拡散することさえできる。「専門家」からすれば、全く別の地平をさすらう、救いようのない輩であるに違いない。
ああ、蚊の羽音が耳元で煩い。